任天堂は10月末の経営方針説明会において、Wiiを2008年中に中国と韓国で販売することを発表した。任天堂の製品を扱う現地法人の神遊科技もまた中国メディアに対し2008年に発売することを発表した。神遊科技の担当者は「タイトルに関しては、中国国外のタイトルをリリースするだけでなく、中国の国情にあわせ、中国で開発されたタイトルがリリースされるかもしれない。また中国語のWiiのサイトが近日登場するだろう」と中国メディアに対しコメントしている。
神遊科技では現在、中国版ゲームボーイアドバンス(SP、Micro含む)ことiQueGBAとニンテンドーDS Liteと海賊版対策が施されたNINTENDO64ことiQuePlayerをリリースしている。その一方で日本など中国国外のゲームボーイアドバンスやニンテンドーDSも販売されている。しかも中国国外のもののほうが、明らかに多く流通している、と筆者は感じる。ソフトタイトルにおいても、中国ではオフィシャルである神遊科技からリリースされるタイトルはあまりに少なく、一方で日本など中国国外のゲームソフトは潤沢に市場に出回っている。ハードにしてもソフトにしても、日本などで店頭価格が下がったものや中古商品が中国商人に転売され中国で流通するため、ソフトによってはお値打ち価格のものがある。一方中国の本体やソフトはそもそもあまり流通していないし、値下げも行われていない。
この中国における前提がWiiで急に覆されるとは考えにくい。「高いから海賊版を買うのは仕方のないことであり、当たり前」という理論が横行する中国において、やはりWiiでも中国国外版ハードに中国国内版海賊版ソフトがスタンダードになる可能性は高い。しかしWiiにはゲームタイトル以外にも、天気・ニュース・みんなで投票チャンネルなど、中国語版でないと中国人が楽しめないコンテンツが存在するため、これらをお金を払う価値があるものと中国の消費者が認識すれば、中国向け本体は売れる可能性はある。ショッピングチャンネルで買い物をしてくれるかどうかは、海賊版天国といわれて久しい中国では微妙なところ。
価格だが、中国版Wiiの定価は他国のそれと変わらないという。であれば、中国国外で発売されているWiiが新品中古問わず大きく値段が下がらない限り、転売のマージンがかからない中国版Wiiのほうが、中国での販売価格は安いはずである。週刊東洋経済TKは、Wii原価を分析すると1台で4000円の利益が稼げるという分析記事を掲載した。ならば本来ゲームビジネスはソフトで売れてナンボの世界であるが、中国国内でたとえ中国向けハードだけ売れたとしても任天堂は儲かることになる。
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