6月6日に中国版のYouTubeというべき動画や音楽を共有、閲覧できるポータルサイトの「迅雷在線」がオープンした。その前身は、2003年より開始されたマルチメディア配信サービス「迅雷」で、登録ユーザー数が9000万、毎日5000万ダウンロード、毎日の転送量が1000TBと、その規模の大きさが伺える。ウェブ版迅雷こと迅雷在線で、既存ユーザを呼び込み新規ユーザーを開拓し、一気に中国ナンバー1のポータルサイトを狙う。
新たなウェブ版迅雷と平行して運営されている以前の迅雷は、フリーウェアの「迅雷(現バージョンは迅雷5)」を用い、ウェブブラウザを介さない独自のインターフェースでサービスを提供していた。今回スタートしたポータルサイトの迅雷在線では、ウェブブラウザで他のユーザーがアップロードした動画ファイル、音声ファイルを楽しむことができる。
ただしコンテンツの再生は、迅雷オンラインサーバ上ではなく、検索サイトの百度の1コンテンツである、「百度mp3捜索」のサーバにより行われ、Windows Media Playerなどプラグインが立ち上がる仕組みとなる。またコンテンツをダウンロードするには専用ソフト「ウェブ迅雷」をインストールする必要がある。
YouTubeに違法コンテンツがアップロードされ、著作権法違反の指摘がされているが、同コンセプトの迅雷にも、アップロードされたコンテンツの中には、違法であろうものも多く含まれている。中国では日本のコンテンツ、たとえばNARUTOなどのアニメコンテンツや最新の邦楽が人気で、迅雷にも日本のコンテンツが少なからずあるのが既に確認できる。また提携する百度mp3捜索サービス自体が、2005年に著作権法違反で中国のレーベル会社複数社より訴えられ敗訴している。
迅雷の創業者で現CEOの鄒勝龍氏はシリコンバレーで最初このサービスを始め、その後中国に戻り中国でサービスを再開した。本社所在地は広東省深セン市。迅雷のサービスを多くのユーザー提供することで、ダウンロードサービスについてのノウハウを得、中国最大のダウンロードサービスのノウハウを中国の著名ネット企業にも提供するに至った。そのターゲットは中国人だけでなく、世界中にいる華僑も含めた、全世界の中国語圏の人々だ。迅雷の目指したビジネスアプローチは、同じくシリコンバレー帰りの技術者が始めた百度ともよく似ている。
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