VRIコラム

「ユニクロ ヒートテックエピソード募集企画」のストーリー

 企業と生活者のコミュニケーションにおいて、最も重要なのは「ストーリー」です。ここでいう「ストーリー」とは、相手の感情を動かすエピソードや仕組みを指します。

 2022年11月から12月に実施され、2023年の1月に受賞作が発表されたユニクロの「ヒートテックエピソード募集キャンペーン」は多くの人を巻き込むストーリーがありました。

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 このキャンペーンは、11月10日に「ヒートテックの日」を記念して、お客様感謝企画として実施されました。ヒートテックにまつわる忘れられない思い出や、オリジナリティあふれる使い方や着こなし方などをふくむ「肌寒い季節にも心がなごむエピソード」を110字以内で応募すると、素敵なエピソード110作品に、総額1110万円相当のギフトカードがプレゼントされます。

 応募方法は、@UNIQLO_JPをツイッターでフォローし、「#ヒートテックの日」というハッシュタグを付けて110文字以内でツイートすることです。このキャンペーンは大きな反響を呼び、1万3000件もの応募がありました。

 厳正な審査の結果、1月17日にグランプリ1作、準グランプリ9作、入選100作が選ばれました。さらに1月29日にはJ-WAVE(81.3FM)の特別番組「J-WAVE SELECTION UNIQLO WARM YOUR HEART」で、俳優の鈴鹿央士さん、声優の木村昴さん、上坂すみれさんをゲストとして、受賞作の紹介がされました。

 また、全国のユニクロ店舗(一部店舗を除く)でも、受賞作の朗読が店内放送で紹介されました。受賞作はこちらから読むことができます。

 家族との思い出が多いですが、中には高校時代のバレンタインデーにチョコではなくヒートテックを渡して告白を成功したというようなエピソードもあります。

 SNSでも「ユニクロの店内放送で聞ける『ヒートテックエピソード』がおもろしい」といったポジティブなコメントがたくさん見られます。このキャンペーンは大きな成功を収めました。なぜこのキャンペーンが効果的だったのでしょうか?

 ヒートテックは寒い季節に愛用する人が多い身近な商品です。この商品にまつわるエピソードを110字以内でツイッターに投稿するという手軽さも、反響を呼んだ理由の1つです。また、受賞作を、人気の俳優や声優が朗読し、店内放送で流すアイデアも秀逸です。

 ヒートテックにまつわる家族や友人とのほっこりするエピソードは、機能を訴求するよりも心を温かくすることができます。これこそが「ストーリーの力」です。

 このように、優れたコミュニケーションには必ずストーリーがあります。あなたの会社のコミュニケーションにも、インタラクティブなストーリーがあるでしょうか?

◇ライタープロフィール
川上徹也(かわかみ てつや)

広告代理店勤務を経て、コピーライターとして独立。最近は広告制作に留まらず、「ストーリーブランディング」の第一人者として、様々な企業・団体のマーケティング・アドバイザーをつとめる。最新刊は『面倒なお願いでも気持ちよく相手に届く伝え方は?』(アスコム)。

この記事はビデオリサーチインタラクティブのコラムからの転載です。

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