Logitech(日本ではロジクール)が米オフィス家具メーカーSteelcaseと共同開発している「Project Ghost」は、オフィス用のテレプレゼンスブースだ。リモート会議をノートPCやテレビの画面上ではなく、実際に対面で行っていると感じられるように設計されている。
普通のオフィスでは、誰も仮想現実(VR)や拡張現実(AR)のメガネなどかけておらず、ビデオ会議サービスを使ってつながっている。そうした現状を変えるべく動き始めた企業もある。例えばGoogleは、実験的技術として、高度な3Dビデオブース「Project Starline」を開発中だ。ライトフィールドディスプレイを備えるこのブースでは、離れた場所にいる相手がホログラフ風に3次元の等身大で表示され、目の前にいるかのように会話できる。筆者も2022年にProject Starlineを実際に体験してみて驚かされたが、普通のオフィスに簡単に設置できるものではない。LogitechのProject Ghostも似た発想だが、低コストで簡単に設置できるように設計されている。裸眼で3Dの相手の姿を見ることはできないが、予算は低く抑えられるだろう。
Project Ghostはごくシンプルに設計されている。光の透過率を調整した特殊なガラスをディスプレイに用い、ウェブカメラの手前に設置されたガラス上にビデオチャットの相手を映し出すため、カメラは視界に入らず、等身大で投影された相手と目を合わせながら対話できる。Project Ghostのブースは、ディスプレイを壁面に埋め込み、その向かい側にソファを置いて、出入り口を除き周囲を壁で囲んでいる。LogitechとSteelcaseの担当デザイナーチームによると、自宅にいるような居心地の良さを目指しているという。
Logitechは今春のニューヨークでのデモに向けて準備中で、今はバルセロナで開催中の技術見本市「ISE 2023」でこのコンセプトを披露している。筆者はまだGhostを試していないが、Project Starlineとよく似た価値を提案しているように思う。視線を合わせることは有意義な会話につながり、実物大のビデオチャットはよりリアルに記憶される、という価値だ。これが実際のところ、オフィスでの会議やバーチャルなつながりにどのような影響を与えるかは分からないが、体験したStarlineのデモでは、通常のビデオチャットとはかなり違うと感じられた。
LogitechがProject Ghostの導入先として目指す場所は、オフィスだけにとどまらない。Starlineと同様、従業員が実際に職場に行く代わりに、ビデオストリーミングを介したリモート勤務に代替できるような場所で利用されることが期待されている。
Project Ghostの一環として設計された家具は、関心のある企業に2023年末までに納入される見通しだが、使用されるオフィスビデオ会議用製品「RALLY PLUS」はすでに販売中だ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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