建材サンプルマーケットプレイス「Material Bank」を日本で展開するDesignFuture Japanと物流倉庫向け自律移動ロボットを手掛けるLocus Roboticsは1月11日、倉庫内におけるピッキング作業を効率化するロボット「Locus Origin」を用いた運用実証事業を開始した。ESGフレンドリーな物流スキームの実現を目指す。
Material Bankは、2019年に米国でサービスを開始した建材サンプルマーケットプレイス。インテリアデザイン、建築設計、ディスプレイ設計などを手掛ける建築関係のデザイナーをターゲットにしたサービスで、多様なメーカーの建材サンプルを1つのサイトで素早く検索できるほか、深夜0時までの注文で、最短翌朝に一箱で受け取れるスピードが特徴だ。
米国では、建築関係のデザイナー10万人超が利用しており、1日あたり配送は約8万個にのぼる。Material Bank Japanを運営するDesignFuture Japan CEOの中沢剛氏は「デザイナーは仕事の時間の約4割をサンプル探しと取り寄せに使っている。建材サンプルは壁紙、床材、タイル、塗料と多種多様に渡り、取り扱いメーカーもさまざま。従来は、各メーカーのウェブサイトから注文するほか、電話やFAXを使って取り寄せるなど、とにかく手間がかかった。Material Bankは、450社を超えるメーカーのサンプルを取り扱い、取り寄せにかかる労力を大幅に削減できる」と米国での現状を話す。
1月から運用を開始したMaterial Bank Japanでは、約3000人のデザイナーと約60社のメーカーが参加し、運用実証事業を展開していく計画。千葉県市川市に物流拠点を構え、日本でも深夜0時までの注文で、最短翌朝に受け取れるサービスを展開する予定だ。
物流倉庫内で使用するLocus Originは、自律的に6000平方メートルの配送センター内を動き回り、ピッキングスタッフと協力してサンプルをピッキングし、出荷担当者に届ける役割を果たす。サンプルを集めるためのボックスを載せる台とディスプレイが設置されており、ディスプレイには必要なサンプルと入れる対象のボックスの情報を表示。倉庫エリアには棚1列ごとにMaterial Bank Japanのピッキングスタッフが待機しているが、スタッフは自分の担当エリアへ訪れたロボットのディスプレイの表示に従って、棚から取り出したサンプルを指定のボックスに入れるのみでよく、フロア内を歩く距離を大幅に削減できるという。
Locus Robotics CEOのRick Faulk(リック・フォーク)氏は「Locus Originは、人が歩く距離を最小化するように情報を処理しており、すでに導入している倉庫では、従来、1日の歩行距離が12〜15マイルだったものが1日2〜3マイルに減らせ、ピッキング作業数も2〜3倍に増えたという結果が出ている」と導入効果を説明する。
実証実験では25台のLocus Originを導入し、ピッキング作業をサポートしていく計画。各ロボットにはWi-Fi経由で情報が送られており、それをもとに作業場所へと移動する。ピッキング作業を担当するスタッフは、Bluetooth接続のタグを身に着けており、ロボットはそこからスタッフの情報を受け取っているとのこと。海外の現場では、スタッフが話す言語をタグから把握し、それにあわせてディスプレイの表示を変えるといった対応もしているという。
「日本にも良いロボットはたくさんあるが、私たちの強みは、ロボットが持つナビゲーション能力が高いこと。あらゆる施設内で自動化を実現できるナビ機能を搭載している。加えて、さまざまな大きさのものを運べることが強み。さらに、ロボットが動く中で、作業におけるデータを収集し、改善に結びつけることができる」(Faulk氏)と他社との差別化ポイントを話した。
運用実証事業は約4カ月間実施する計画。DesignFuture JapanとLocus Roboticsは共に、サステナブルに関する取り組みにも力を入れており、Locus Originは、販売はせず、すべて貸し出しのみで対応。使わなくなったものは回収し、再利用するなど、廃棄される状態をつくらないようにしているとのこと。Material Bankもさまざまな建材サンプルをまとめて発注、発送できることで梱包や配送を集約し、環境にも優しい仕組みづくりを推進しているとのことだ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
すべての業務を革新する
NPUを搭載したレノボAIパソコンの実力
「1→10」の事業化を支援する
イノベーション共創拠点の取り組みとは
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力