イケア・ジャパンは11月24日、千葉県船橋市にあるIKEA Tokyo-Bayの倉庫を自動化したと発表した。自動倉庫型ピッキングシステム「オートストア」を導入し、従来に比べ、約8倍の作業効率で発送が完了できるという。
自動化した倉庫は、IKEA Tokyo-Bayの倉庫内に高さ7m×幅37m×奥行き14mのサイズで設置。今まで倉庫として使われていた一角をリノベーションしており、6月頃に施工をスタート。約半年をかけて稼働にこぎつけた。イケアにおけるオートストアの導入は、クロアチアに続き日本が2例目になる。
自動化した倉庫内には「BIN(ビン)」と呼ばれるプラスティック製のボックスを1万1400個備え、その中に食器や雑貨などの小物類や小型家具などを格納。25台のピッキングロボットが、オーダーに応じて商品をピッキングし、コワーカー(従業員)がいる受け取りポートまで運ぶ流れだ。各種のBINは14段に積み重ねられており、AIによって人気のある商品ほど、上の層に来る仕組みになっているという。
イケア・ジャパンでは、今までオンラインショップなどの購入商品を、コワーカーが店舗内でピックアップし、配送する形を取っていたとのこと。オートストアの導入は、この部分の作業効率を時間にして8倍効率化するとともに、コワーカーにおける仕事環境の改善を目標に導入を決定。従来、コワーカーは8時間労働で2~3万歩を歩いていたという。
イケア・ジャパン Customer Fulfilment Development and Multichannel Network Managerのルイーズ・マシュー氏は「ピッキング作業を自動化し、荷物の移動を極力減らすことで、安心、安全な作業環境を手に入れられる。これにより働き方をより良いものに変えていきたい」と自動化の意義を話した。
日本では9つのイケアストア(大型店舗)、3つの都心型店舗、カスタマーサポートセンターに加え、ECサイト「IKEAオンラインストア」やIKEAアプリの配信などを実施。ユーザーとのタッチポイントを増やしてきたという。昨今では、札幌市、岡山市、高松市、広島市、静岡市、浜松市と全国6カ所に商品受け取りセンターを設置。「お客様は店舗まで訪れる必要なく、受け取りセンターで商品を受け取れる。自宅配送に比べ配達料金も節約でき、好評のため、2023年までに10拠点以上のオープンを目指す」(マシュー氏)と独自の取り組みを明かす。
今後IKEA Tokyo-Bayは、IKEA 新三郷、IKEA 立川、IKEA 港北が担っていた小物配送のピックアップ業務も請け負う方針。関東4店舗を1つのマーケット「One Tokyo Market」として捉え、サポートしあう体制を整える。
なお、ピッキングロボはリチウムイオンバッテリーで駆動しており、そちらを含むすべての動力は、再生可能エネルギーで賄っているとのこと。このほかにも環境への配慮としてラストワンマイル配送のゼロエミッション化も推進しており、イケア・ジャパンでは、現在、6台のEV車を使用し、今後さらにEV車の数を増やしていく予定で、車両の充電でも再エネ電気を100%使用しているという。
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