「Wooorld」という別のアプリでは、目の前の床に「Google Earth」の3Dマップが広がり、さまざまな風景が表示された。筆者はニュージャージー州の自宅にズームインして、VRの世界でGoogleの「ストリートビュー」に飛び込んでみた。「Figmin XR」という別のアプリのデモでは、「Tilt Brush」(人気の高いVRペイントアプリ)のMR向けに最適化されたバージョンを使用して、絵を描いた。渦巻く虹を空中に描いたときは、何年も前にMagic LeapやHoloLensを使用したときの体験を思い出した。Figmin XRアプリには、さまざまなものを自由に構築できるサンドボックススペースを物理学的な効果と組み合わせたツールも含まれており、ボールを斜面で転がしたり、床についたりすることができた。
MR機能は単なる小細工に聞こえるかもしれないが、3Dオブジェクトを現実の空間に配置するデザイナーや、公共の場でヘッドセットを使用するパフォーマーにとっては、正当な価値があるかもしれない。DJアプリ「Tribe XR」のデモでは、ミキシングボードとターンテーブルが目の前に現れたが、部屋のほかの部分や自分と話をしている人たちを見ることもできた。これを実際のクラブや劇場で使ってみたら、どうなるだろうか。おそらく、驚異的な効果を発揮するだろう。
Quest Proのアイトラッキングと表情トラッキングは、Metaにとって新しい機能であり、データプライバシーに関する多くの疑問をはらんでいる。トラッキング機能の当初の主な目的はアバターの制御だ。「Meta Horizon Workrooms」のデモでは、Quest Proで表情トラッキングをオンにしている別のアバターと話をしながら、笑顔を作ったり、瞬きをしたりすることができた。こちらから見たときのほかのアバターの効果は、少し不気味だった。瞬きが変なときがあったり、笑顔がしかめっ面のように見えたりすることもあった。しかし、より高度な宇宙人タイプのプロトタイプアバター用の詳細な制御設定を見せる別のデモでは、頬を膨らませたり、唇をとがらせたり、眉をひそめたりするなど、さまざまな表情を見ることができた。アバターは、最終的には多岐にわたる要素を調整できるようになるだろうが、反応やリアルさがどれほどのものになるのかは、現時点では不明である。Metaによると、特定の表情を作ることができない人のために、何らかの調整を施し、AIを使って、各ユーザーの能力に合わせたチューニングを施せるようになる可能性もあるという。
アイトラッキングは、フォービエイテッドレンダリングと呼ばれるテクノロジーを通して、より高度なグラフィックスを実現することもできる。フォービエイテッドレンダリングは、目が見ている場所の中心にある高解像度のディテールだけに焦点を当てるというものだ。PlayStation VR2でも採用されているテクノロジーだが、筆者が体験したデモでは、Quest Proのフォービエイテッドレンダリングは有効になっていなかった。レドモンドでのデモの合間にZuckerberg氏がわれわれに語ったところによると、フォービエイテッドレンダリングを追加するという決定は、簡単なものではなかったという。バッテリー持続時間に影響するからだ。Metaによると、ただでさえ、Quest Proのバッテリーは1~2時間しか持たないという。フォービエイテッドレンダリングが有効化されていなかったのは、そのせいかもしれない。あるいは、筆者が体験したデモの初期のアプリ開発者たちは、このテクノロジー向けにアプリを最適化する方法をまだ見出していないのかもしれない。
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