Metaは、コンピューティングの未来のように感じられる10億人規模のメタバースにすべての人を連れて行くことを夢見ているが、既存のVRヘッドセットは実用性に限界があり、外の世界を遮断してしまう。日常的に使用できるARメガネを実現することが最終的な目標だが、それまでの間、Quest Proは、VRの要素を残しつつ、ARをMetaのヘッドセットに取り込み始める架け橋の役目を果たす。ただし、1499.99ドルもするこのようなデバイスは、一般的なユーザーをより多く獲得することを目指しているわけではない。Quest Proが獲得しようとしているのは、HTCやMicrosoft、Magic Leapといった企業がこれまで存在感を発揮してきたビジネスおよび研究市場だ。
筆者がMeta Reality Labs Researchを訪れたとき、Metaの最高経営責任者(CEO)のMark Zuckerberg氏は、筆者を含む複数の記者に向かって話をし、Quest Proについて、「われわれがターゲットにしているのは、最もハイエンドのVRデバイスを欲している人々、つまり愛好家やプロシューマーと、仕事を成し遂げようとしている人々だ」と語った。
筆者がQuest Proのデモを体験しているときに話をした最高技術責任者(CTO)のAndrew Bosworth氏は、「Quest Proはゲームをプレイするのに最適な空間でもある」と言い、Quest Proの強化されたディスプレイとルームトラッキングコントローラーについて強調した。「これらは既存のVR体験をより良いものにすると思う」(Bosworth氏)
Facebookは、初代Questを自己完結型の家庭用VRゲーム機と位置づけたが、Quest Proについては、それよりもはるかに大きな野心を抱いている。Zuckerberg氏は、仕事とソーシャルコンピューティングの新しい形態として、クロスデバイスのメタバースという壮大な計画をすでに打ち出している。Metaが具体的にどうやってそこに到達するのかという課題は、VRをもってしても、完全には解決されていない。次の段階は、Quest ProやMetaが作り出そうとしている他のARデバイスから始まるのかもしれない。
Quest Proは、メインストリームの低価格帯消費者向けモデルと共存する、ビジネス向けVR製品のラインアップ拡充というMetaの新しいVR製品戦略の一環でもある。Quest Proは、Quest 2の発売から2年後に登場した。「Quest 3」もおそらく開発中で、2023年に発売されるかもしれない。
パススルーカメラによって、MRの要素を取り込んでいるビジネス向けVRヘッドセットはすでに存在するが、LiDARを搭載した「Varjo XR-3」などの最上級モデルは何千ドルもする。例えば、最新の「Varjo Aero」ヘッドセットは1990ドル(約29万円)だ。スタンドアロンのARヘッドセットにも数千ドルの価格が付けられている。例えば、「Magic Leap 2」は3299ドル(約49万円)、HoloLens 2は3500ドル(日本では42万2180円)、HTCのスタンドアロン型VRヘッドセット「VIVE Focus 3」は1300ドル(約19万円)だ。そのような状況を考えれば、Meta Quest Proの1499.99ドルという価格は、決して法外ではないように思える。とはいえ、この価格では、MetaのエコシステムでMRデバイスを購入する理由がある愛好家や、その出費を仕事の経費として正当化できる企業にしか訴求しない可能性が高い。
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