YouTubeは、動画を収益化できる「YouTubeパートナープログラム」を一新し、「YouTubeショート」に人気の高い動画をアップロードするユーザーにも、広告の収益分配をはじめとする収益化機能を拡大した。YouTubeショートは、「TikTok」に対抗する、縦型の短いループ動画だ。
「プラットフォーム上のショート動画に大規模な収益分配機能が提供されるのは、これが初めてだ」と、YouTubeの最高製品責任者(CPO)を務めるNeal Mohan氏は米国時間9月20日に述べた。YouTubeは、動画クリエイター向けの「Made on YouTube」イベントで、これを発表した。本件については、The New York Timesがいち早く報じていた。
2023年初頭から、直近90日間のショート動画視聴回数が1000万回以上、チャンネル登録者数が1000人以上という条件を満たすユーザーは、YouTubeパートナープログラムへの参加を申請できるようになる。同プログラムに参加すると、広告収入の45%が分配されるほか、「チャンネルメンバーシップ」などの収益化機能を利用できる(現時点で同プログラムに参加するには、チャンネル登録者数1000人以上、直近12カ月間の動画総再生時間4000時間が必要)。
従来の横型長尺動画の広告収入分配率は55%であるのに対し、YouTubeショートの分配率は45%となっている。Mohan氏はその理由の1つとして、ショート動画の広告は動画と動画の間に表示されるため、特定のYouTube動画に挿入された広告とは異なることを挙げた。
YouTubeは毎月、YouTubeショートの全広告収入を集計する。その一部は、音楽ライセンス料の支払いに充てられ、45%がクリエイターに分配される。各クリエイターは、その月のショート動画総視聴回数に占める割合に応じて支払いを受けることになる。
TikTokは2022年に入り、同社初の広告収入分配プログラムを検討していることを明らかにしていた。そのプログラムは、一部の広告で得た収入の50%をトップクリエイター、著名人、その他のパブリッシャーに支払うというもので、対象は、10万人以上のフォロワーを持つTikTokアカウントだとされていた。TikTokはコメントを控えた。
20億人の月間ユーザー数を誇るYouTubeは、世界最大規模のオンライン動画サイトだ(ただしこのユーザー数は、3年以上更新されていない)。YouTubeはYouTubeショートによって、高い人気を集めるTikTokに対抗しようとしている。TikTokは、中国企業の字節跳動(バイトダンス)が保有するソーシャル動画アプリだ。YouTubeショートは2020年にインドで提供が開始され、その後、米国をはじめとするその他の国々に拡大された。
Mohan氏は20日、YouTubeパートナープログラムに、オンラインでの活動を始めて間もないクリエイターの収益化支援を目的とした新しい階層を導入することも明らかにした。この新しい階層は、視聴者によるクリエイター支援機能の利用資格が引き下げられたものになる。この機能には、チャンネルメンバーシップや、視聴者が特別なデジタルアイテムや特典に対価を支払う「Super Thanks」「Super Chat」「Super Sticker」などの少額取引がある。
YouTubeパートナープログラムは、定評のあるクリエイターを対象に広告収入を分配するものとなっている。これは、広告主、マーケター、ブランドに対して、ブランドの安全性が確保された広告掲載場所として同サイトを宣伝する必要があるからだ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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