「アイドルマスター」4年半ぶりの765AS単独ライブで見た“新たな始まりと未来へ繋ぐステージ” - (page 3)

 フェスイベントの出演などはあったなかでも、4年半というブランクを感じさせないような、長年培われてきた“そこにアイドルがいる”と感じさせてるステージパフォーマンスと、思わず笑ってしまいそうになるぐらいの楽しい気持ちにさせてくれるトーク、そして声援やコールは出せない状況に変化はしたものの、その時間を一瞬で埋めてくれるような、メンバーとプロデューサーさんの熱量と一体感を感じる会場という“変わらないもの”、DAY2のあいさつではわがままを聞いていただいたという言葉も聞かれたが、長年続けていくなかでも貪欲に新しいものを取り入れたり挑戦していくという“新しい姿”、なにより、765ASの12人、765AS+の13人がそろうという“奇跡のステージ”がそれぞれ見られた、というのが率直な感想としてある。これはかつてアニバーサリーライブを中心に、毎年のようにライブが行われていたのを見ていたからこそ、この単独ライブが当たり前のことではないと感じられるからかもしれない。

 振り返ると節目となるような、そして集大成となるようなライブはあり、今回もそういう見方をできるところはある。ただ、まだまだ一区切りではなくこの先にある未来を見据えていること。それをステージなりトークで感じたところがある。中村さんがDAY2の締めくくりに、いつものセリフの前に「ここから始めよう!」と、終わりの意味ではなく言ったこと。またラストに歌った「THE IDOLM@STER」には“これから始まる”というフレーズがある。17周年を迎えようとするなかでも新たな始まりと、未来へと繋いでいくステージと感じられた次第だ。

 また余談ではあるが、筆者個人としても印象に残る場面はいろいろとあった。765プロのライブでは、ハンドマイクがほとんどというぐらいだったが、今回はヘッドセットマイクが多く活用されていたので新鮮に感じられたこととか、滝田さんの出演は本当に驚いたこととか、「朝焼けは黄金色」を見ていただけに「翼」や「想い出は永遠に」は曲として聴いていたものの、リアルライブで見ると“あのシーン”や“このシーン”が思い浮かんで涙腺を刺激したとか、765AS+全員が揃った「M@STERPIECE」が披露される世界線は本当にあったんだと思ったこととか、浅倉さんが2010年にこの会場で、初めて雪歩役として登場したこと(※「THE IDOLM@STER 5th ANNIVERSARY The world is all one !!」のこと)に触れる一幕もあったが、当時筆者はゲームメディアを担当していた時期で、実際に会場でその光景を目の当たりにしたことや、そのときのざわつきや空気感、歓声といったものが思い返すことができたり、若林さんが当時この会場がとても大きく感じたことも触れていたが、まだイチプレーヤーだったときに見た初期の“雪の赤羽会館イベント”から、どんどん会場が大きくなっていくことに驚きと興奮を感じていたことを思い出したとか、前に765AS+全員が揃った7周年記念ライブは横浜アリーナで、当時最大規模の会場で会場の広さとステージまでの遠さを感じつつも壮観な光景だったことや“アイドルのシルエット”のシーンは覚えているとか、ライブ本編とは関係ないが、会場で10年ぶりぐらいにアイマスライブに来たという面識のある方に久々に会ったとか、会話のなかで「アーケード版のときはまだ10代で……」ということが話されていて、筆者はロケテストの1回目をプレイしていた時期はギリギリ20代だったが、正式稼働のときは30代に突入していた世代なので青空を見上げたくなったとか、今ではそこそこな年齢になっていても、こうしてライブを見ることができてよかったと思うのと同時に、この先“光る杖”が実現するぐらいまで見られるといいなと感じたこととか、どうしても765プロのライブだと、昔の出来事が走馬灯のように流れてきて、思い出話になって長くなりがちといったところがある。

 そして、筆者のお気に入りのアイドルが双海亜美双海真美ということを踏まえても印象的なところがある。ちなみに2人は双子姉妹で、元気で明るいいたずら好きな性格の持ち主。また下田さんは、DAY1では左側に髪を結んで真美の髪型を、DAY2では右側に髪を結んで亜美の髪型をそれぞれ再現するように登場した。

 真美のソロ曲である「セクシータイフーン」では、どこか怪しげかつセクシーで、そして“昭和の”が付くような楽曲を、“13歳のおませなセクシー感”が満載となったステージに。下田さんが真美としてのセクシーな歌い方に、細かなしぐさにもこだわっているようなセクシーなダンスやポーズを決めながらパフォーマンス。間奏では昭和のコントで使われていたようなセクシーなセリフまで飛び出したり、さらには、「セクシー」の文字が竜巻さながらにくるくる回るという、“セクシーがタイフーンしている”という映像演出の後押しも受けて、見ている側としては思わず笑ってしまうような真美のセクシーな世界観を表現。

 また亜美のソロ曲である「ポジティブシンカー」では、元気になれる応援ソング。下田さんが亜美として背中を後押し、というよりも引っ張っていくぐらいのノリノリでパワフルなステージを展開。なかでも間奏では両手を前に出して振る動きを場内に促して、プロデューサーさんを巻き込むところがあったのだが、「一緒にやりまーす!」と、お願いではなくやること前提で促すところが亜美らしいと思えたところでもある。

 なにより最も印象的だったのは、亜美と真美の楽曲「スタ→トスタ→」。前述のように“2人がステージに立って”披露された。

 先だって、目標を語るトークパートにおいて、下田さんは“分身”を挙げていた。もともとひとりの人間が分裂したかのような亜美と真美の声を担当し続けている下田さんらしい回答とも感じていたのだが、それが早速叶った……というよりも、このステージにおける仕掛けを示唆した、壮大なフラグだったと思わずにはいられない。

 冷静に見れば、真美の髪型や格好をしたダンサーが登場し、手にはマイクではなくコンサートライト。おそらく真美としてのボーカルを事前収録したもので、それを活用して歌っているように見せたものと思われるが、どこか分身していると思いたい気持ちと、コミカルな動きも交えた亜美と真美のステージになっていたと感じられるものだった。また、2人のステージに目が行きがちだが、かな入力でキーボードに「startstar」と入力すると出てくる文字「とかちすかとかちす」を、パスワードとして入力して楽曲がスタートするという細かい映像演出があったことも付記しておきたい。

 もちろんゲームやアニメでは、亜美と真美それぞれ動いている姿が見られ、また、ホログラフィックライブイベントとして開催された「THE IDOLM@STER MR ST@GE!! MUSIC♪GROOVE☆2nd SEASON」でも、現実に近い感覚で2人を姿を見ることはできた。ただリアルライブでこのような演出を行ったのは初めてのことであり、ステージ上で2人の姿を見たときには「は?」という声を思わずあげそうになったぐらい、驚いたのが正直なところだ。そして見ていくうちに、現実として2人がステージに立っているならばこういう光景になるのかと感慨深くなっていった。

 亜美と真美はいたずら好きで何が飛び出してくるかわからない“びっくり箱”のようなアイドル。17年経ってもかわらないエンタティナーっぷりを見せていたこと、そしてそれを長く体現してきた下田さんならではのステージと感じられた次第だ。

 なお、本公演のアーカイブ配信を、特別映像付きで「ASOBISTAGE」にて実施。視聴期間はDAY1とDAY2ともに、7月25日18時~8月1日 23時59分を予定。視聴チケットの販売期間は8月1日12時まで。料金は各4900円(税込)となっている。

 また関連情報も公開。「アイドルマスター」のオリジナルコミック企画「765プロの台所」の連載を、アイドルマスター公式Twitterにて開始。また、7月26日にシリーズ17周年を迎えることを記念した生配信「アイドルマスター17周年生配信~17th Anniversary P@rty!!!!!~」を、同日21時から実施予定。このほかスマートフォン向けゲームアプリ「アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ」での施策や、開催記念グッズの販売を告知している。

「765プロの台所」キービジュアル
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「アイドルマスター17周年生配信~17th Anniversary P@rty!!!!!~」
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「アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ」において、楽曲「なんどでも笑おう」に新たな音源【765 PRO ALLSTARS歌唱版】が追加
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期間限定で「歌声のマスターキー×18本」を配布
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「アソビストア」にて、バッグブランドmaster-piece(マスターピース)と、765プロのコラボレーションによる2WAYバックパックが受注開始
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開催を記念した、公式等身大アクリルスタンドと公式ジャージが受注開始
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(C)窪岡俊之 THE IDOLM@STER TM&(C)Bandai Namco Entertainment Inc.

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