最近、仮想通貨(暗号資産)やNFT(非代替性トークン)、メタバース関連の話題を追っていると「Web3」という言葉に行き当たる。まるで続編映画のタイトルのようだが、ブロックチェーンのプラットフォーム「イーサリアム」の共同創業者による造語だ。仮想通貨の熱心な支持者たちは、インターネットの次の段階をWeb3と呼び、期待をかける。
Web3を説明する方法は2つある。手っ取り早い説明は、「ブロックチェーンを統合したインターネット」だ。「仮想通貨やNFTが、利用するプラットフォームに組み込まれたインターネット」と言ってもいい。もう1つの説明は「ユーザーが所有するインターネット」だ。最初の説明よりは複雑だが、もう少し具体的だ。ブロックチェーン技術を統合することでインターネットは真に平等主義的な場所になる、と仮想通貨の熱烈な支持者たちは言う。
この一派の主張はこうだ。現在のインターネットはFacebookやAmazon、Googleといった少数の企業に支配された、いわば「電子版封建制」の様相を呈している。少数の巨大企業が土地を独占し、インターネットユーザーは単なる労働力のように搾取されている。この状況を解決するのがWeb3だ。Web3の分散型技術は中間業者を駆逐するだろう。
イーサリアムの共同創業者Gavin Wood氏は2018年のブログ記事で、「例えばオンライン決済の現状を考えてみてほしい」と訴えた。「私たちには自分で対価を払う権限さえない。金融機関に連絡して、支払いを代行してもらわなければならない。自宅の水道料金を払うといった、当たり障りのないことさえ任せてもらえない。まるで親にせがまなければ何もできない子どものようだ」
では、仮想通貨を使用できるWeb3では決済はどのように行われるのか。Web3では、オープンソースのプロトコルを使うことで、金融機関を介さずウォレットから別のウォレットへ送金できる。
未来のインターネットではプラットフォームの所有権が分散され、ユーザーもプラットフォームを所有できるようになると主張する人々もいる。例えば、もしFacebookが分散所有型のソーシャルネットワークだったら、新規株式公開(IPO)の代わりに仮想通貨トークンを作成し、初期のユーザーたちにエアドロップしていただろう。Facebookの人気が口コミで広まるほど、トークンの価値も上昇する。エンゲージメントに応じて提供されるトークンはガバナンスの手段としても機能し、ユーザーはコンテンツのモデレーションやポリシー関連の意思決定にも参加できるようになるかもしれない。
トークンの価値はプラットフォームの成功度に比例するため、トークンの所有者にはFacebookをできる限り快適な場所にするインセンティブが生じる。
Web3の文脈でよく聞く「分散化(decentralization)」もあいまいな概念だ。Web3推進派によれば、分散化とは一握りの企業によって支配されているインターネットをユーザーの手に取り戻すことだ。しかし分散化は夢物語にすぎず、技術的には不可能だと批判する人々もいる。
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