シリコンバレー発のIoTソリューションサービスを提供するMODEは5月2日、JR浜松町駅において実施していた夜間工事のデジタルツイン化に向けた実証実験が完了したと発表した。
実証実験は東日本旅客鉄道(JR東日本)とJR東日本スタートアップと共同で、1〜3月にかけて実施。JR浜松町駅における夜間改良工事において、JR東日本のDXプラットフォームの構築と実運用を想定した検証ならびに、デジタルツインのプロトタイピングを実施した。
具体的には、準天頂衛星対応GPSトラッカー使用して、工事関係者や軌陸車のリアルタイム位置情報把握と、鉄道工事中で使用する保安機器の状況把握を実施。
さらには、活動量計測シューズセンサー、超小型温度計測パッチセンサーを使用した工事関係者の活動状況、バイタル相関分析を行っている。
結果として、作業時間の4時間で1人当たり1万4000歩以上の活動量を確認。特に、安全確認の注意力が必要な撤収作業の時間帯に歩数が多くなっており、体力的にも負荷がかかりやすい時間帯であることを認識できたという。
また、実験期間の約2カ月で、59項目の知見、12項目の課題を確認。次のステップでの取り組みが明確になったという。アンケートでは、今回の実験で80%の作業者が負担にならないと回答したとしている。
MODEによると、建設業界では生産年齢人口減少による仕事の担い手、技術者不足や、作業工程が複雑化するなか、現場における全体の作業進捗や作業員、重機の位置把握が困難といった課題が顕在化しているという。
特に鉄道建設工事は、終電から始発までのわずかな時間で作業を行う場合が多く、現場によっては軌陸車10数台、作業員100人以上が短時間で集中的に作業を実施している。
また、営業線に近接した現場での作業になるため、夜間、昼夜を問わず列車の安定輸送、利用者や作業員の安全管理は最重要課題となっている。
しかし、現在は現場で人力に頼った安全管理を行っており、安全性を確保しつつ管理コストを下げたいという課題に対し、位置情報のリアルタイム把握が必要不可欠となっている。
同社は、現場データ全てをリアルタイムで収集、蓄積することの有効性が確認され、実用化に向けてGPS精度の検証を継続する必要性を認識したことから、実運用展開、多用途展開を目標に、地方部や夏季の運用、センシング機能の拡張、サービス事業での活用などに取り組んでいくという。
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