フォースタートアップスは2月9日、成長産業領域に特化した情報プラットフォーム「STARTUP DB」において、2021年1月1日から1月31日までを対象とした「国内スタートアップ資金調達金額ランキング」を発表した。
それによると、資金調達金額が10億円以上の企業は、昨年度の国内スタートアップ資金調達ランキング(2021年1月)では上位5社であったのに対し、2022年1月では倍以上の13社に増加している。
大型リチウムイオン電池、蓄電システムを開発するエリーパワーは、登記簿から30億円の資金調達を確認し、1月のランキングで1位となった。同社の提供する大型リチウムイオン電池は、世界トップレベルの安全性と性能を誇り、大型リチウムイオン電池として世界で初めて安全基準認証「TUV-Sマーク」を取得している。
同じく30億円の調達を実施して同率1位となったのは、スペースデブリ除去に関する技術開発を行うアストロスケールホールディングスの子会社アストロスケール。同調達は、三菱UFJ銀行、日本政策金融公庫からの融資によるものとなる。
スマートフォンユーザーの行動を分析するIoT端末「AIBeacon」を活用したOMOマーケティングなどを行うアドインテは、グローリー、Innovation Growth Ventureから総額28.6億円の資金調達を実施。今回の調達により、店舗でのユーザー体験向上を目的としたリテールメディア開発・運用や、流通小売企業と連携したプロダクト開発のほか、サービス強化を図る見込み。
エネルギー商品の売買ができるオンライントレーディングプラットフォームを運営するenechainは、リード投資家のDoll Capital ManagementとMinerva Growth Partnersを引受先としたシリーズAラウンドの第三者割当増資にて16億円を調達した。取引銀行からの融資を合わせ、総額20億円の資金調達となっている。今後3年間で、エネルギー取引を行うオンラインマーケットプレイスの流動性を高めていく方針。
資金調達金額ランキング上位20社にランクインした企業のうち、アストロスケールホールディングスは累計調達金額が最も多く、累計342.9億円を調達。次いで、エリーパワーが累計331.8億円を調達しており、2社が累計で300億円以上の資金調達を実施している。
また、ドクターズモバイル、トランザクション・メディア・ネットワークは今回初めて資金調達を確認。ドクターズモバイルはイノシアを引受先として6億円、トランザクション・メディア・ネットワークは三菱UFJ銀行を引受先として10億円の資金調達をそれぞれ実施した。
同社では、2022年2月4日時点での「国内スタートアップ評価額ランキング」も発表している。同ランキングは、登記簿情報に記載されている発行済みの顕在株、潜在株をもとに算出。また、子会社やINCJ主導で設立した企業、上場・上場予定企業は除外されている。
それによると、2022年2月の国内スタートアップ評価額ランキングでは、先月からランクイン企業の顔ぶれに変化はなかった。一方、Spiberやアストロスケールホールディングスをはじめ、合計5社が先月から評価額を伸ばしている。
5位のSpiberは、2021年12月末に40億円の資金調達を新たに確認。評価額が先月から約39億円上昇している。同社は国内スタートアップ資金調達金額ランキング(2021年1月-12月)において、2021年の年間資金調達金額のトップの座を占めていた。
12位のアストロスケールホールディングスは、2022年1月に8億円超の資金調達の実施および、2021年11月以降に優先株式による資金調達を確認している。また、発行株式数の増加と発行価格の上昇により、先月から評価額を213億円伸ばしている。さらに、2022年1月、同社の子会社であるアストロスケールが三菱UFJ銀行と日本政策金融公庫より、融資による30億円の資金調達を実施。今後、宇宙航空研究開発機構(JAXA)による商業デブリ除去の技術実証を遂行していく方針だという。
ヘイは、新株予約権の発行により22億円の評価額の上昇を確認。アストロスケールホールディングスと順位が入れ替わる形で13位にランクインした。同社は、商売のDX支援プラットフォーム「STORES」シリーズを提供しており、誰でも簡単に本格的なネットショップが作成できる「STORES」、ネット予約システム「STORES 予約」、持ち運び型決済デバイス「STORES 決済」などを展開している。
また、「TOP20企業の累計資金調達金額」も発表している。ランクイン企業中、スマートニュース、Spiber、HIROTSUバイオサイエンス、ビットキー、atama plusの5社の累計資金調達金額の増加を確認した。
11位のHIROTSUバイオサイエンスは、登記簿から7000万円を調達しているのを確認。52.4億円に累計調達金額を伸ばしている。また、2021年1月にも、久留米リサーチ・パークを引受先とする第三者割当増資を実施。今回調達した資金は、「N-NOSE」のより一層強固な検査体制の構築に充て、サービス価値向上を図っていく方針だという。
19位に位置するビットキーは、2022年1月に24億円の資金調達を実施していたことが登記簿から明らかになっている。同社は、特許を含む独自技術で構築されたコアテクノロジーであるデジタルコネクトプラットフォーム「bitkey platform」を基盤として、多くのサービスを提供している。
20位のatama plusも同じく、登記簿から2021年12月における11.7億円の資金調達を確認した。同社は、AIで学習を個別最適化する「atama+(アタマプラス)」を全国の塾・予備校に提供。今後の事業拡大とそれにともなう従業員数の増加を見据えて、2021年12月にオフィス「atama park」を麻布十番に移転している。
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