フォースタートアップスは、成長産業領域に特化した情報プラットフォーム「STARTUP DB」において、2021年1月から11月までを対象とした「国内スタートアップ資金調達額ランキング」を発表した。それによると、アストロスケールホールディングス、INFORICH、Linc’well、HIKKYの4社が新たにランクインした。
8位にランクインしたアストロスケールホールディングスは、スペースデブリ(宇宙ゴミ)除去サービスの開発に取り組む企業。同社は、シリーズFラウンドにおいて約124億円の第三者割当増資を実施している。
引受先には、DNCA Invest Beyond Global LeadersやPrelude Capital、Seraphim Space Investment Trust、Y’s Investment、千葉道場などのベンチャーキャピタルのほか、Yamauchi No.10 Family Officeやアクサ生命保険、ソラリスなど計13社が参画している。調達した資金は、安全で費用対効果の高い軌道上サービスに関わる技術開発や日本、英国、米国における量産に向けた自社施設の拡張などに充てる方針。
9位にランクインしたINFORICHは、“どこでも借りられて、どこでも返せる”をコンセプトにモバイルバッテリーシェアリングサービス「ChargeSPOT」を展開している。同社は、MRA INVESTMENTS、NEXTBLUE、SBSホールディングス、ピー・アンド・イー・ディレクションズを引受先とする59億円の資金調達を発表した。
2021年11月時点では、ChargeSPOTの国内設置台数は3万台を突破し、海外においては台湾約4300台、香港約3000台、タイ約1000台の設置が完了している。今後は、日本発世界共通で利用できるバッテリーシェアリングのインフラとして、防災、環境保護、街づくりに貢献していく方針だという。
医療ITシステムを手がけるLinc’wellは、11位に新規ランクイン。同社はシリーズCラウンドにおいて、Bain Capitalをリードインベスターに、Pavilion Capital、インキュベイトファンド、DCM、ニッセイ・キャピタルなどを引受先とした総額約80億円の第三割当増資を実施している。なお、Bain Capitalは、2020年8月に行なったヘイに対する70億円の出資に続き、今回が2社目の国内スタートアップへの出資となっている。今回調達した資金は、ヘルスケアプラットフォームの構築を目指し、採用・新規開発に充てるという。
18位のHIKKYは、世界最大のVRイベント「バーチャルマーケット」を運営。同社はシリーズAラウンドにおいて、NTTドコモを引受先とした第三者割当増資により総額65億円を調達するとともに資本業務提携も締結。今回調達した資金は、バーチャルマーケットや「Vket Cloud」を含むVR関連サービスの開発体制の強化、VRサービス事業の国内外への拡大、組織基盤強化などに充当するという。
トップ20にランクインしている企業のうち、累計資金調達金額が100億円を超えている企業は、Spiber、スマートニュース、TBM、Mobility Technologies、ヘイ、SmartHR、リキッドグループ、アストロスケールホールディングス、INFORICH、ispace、ディーカレット、ビットキーの12社となった。
また、ランクインした企業のうち、オリヅルセラピューティクス、アキュリスファーマ、HIKKYの3社は、2021年において初めて資金調達を確認。それぞれ累計で65億円以上の調達を実施している。
2021年11月における資金調達金額の中央値は1億2490万円、平均値は10億3880万円となった。これにともなって、資金調達金額合計額が768億7110万円と、先月の359億8160万円の約2.1倍となっている。これは、11月中にアストロスケールホールディングスやINFORICHをはじめとして、50億円を超える資金調達が5社行われたことも影響している。
同社では、12月1日時点での「国内スタートアップ評価額ランキング」も発表している。同ランキングは、登記簿情報に記載されている発行済みの顕在株、潜在株をもとに算出。また、子会社やINCJ主導で設立した企業は除外されている。
それによると、「国内スタートアップ資金調達額ランキング」で18位だったHIKKYが16位に新規ランクインしたほか、Spiberが9位から6位に浮上。atama plusが10月以来1カ月ぶりに20位にランクインした。
先月の評価額ランキングで11位にランクインしていたネットプロテクションズホールディングスと20位のエクサウィザーズは、11月中旬に東証マザーズへの新規上場承認を発表。12月下旬に上場を予定している。
Spiberは、構造タンパク質素材「Brewed Protein」などの新世代バイオ素材を開発するスタートアップ。10月に三菱UFJモルガンスタンレー証券をアレンジャーとした事業価値証券化により、50億円の増資を行っている。11月4日には、3384万円の調達も登記簿から確認。調達資金は米国での生産拡大活動および、進行中の材料開発プロジェクトやその他のイニシアチブに充当される見込み。
ランクイン企業のうち、累計資金調達金額が100億円以上の企業は13社となった。1位は1060億円のSpiberで、Mobility Technologiesの470億円、スマートニュースの441億円と続いている。
11月25日には、アストロスケールホールディングスがシリーズFラウンドで過去最大となる約124億円を調達。累計資金調達金額は341億円となった。今回の第三者割当増資には、DNCA Invest Beyond Global Leaders、Prelude Capital、シニフィアン、千葉道場、野村スパークス・インベストメントなどが参画している。
シリーズFラウンドでの追加調達によって、安全で費用対効果の高い軌道上サービスに関わる技術開発、日本、英国、米国における量産に向けた自社施設の拡張など、グローバルでの成長を目指すという。
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