フィンテックベンチャーのMFSは2月9日、AIを使い、瞬時に最適な住宅ローンを提案する「住宅ローン提案サービス」(提案サービス)を開始する。これまで人が行っていた住宅ローンの提案をAIで自動化することで効率化を図る。
MFSは、オンライン住宅ローン比較サービス「モゲチェック」などを展開。不動産会社の担当者からの提案により決めることの多かった住宅ローンサービスを、金利や団体信用生命保険(団信)といった詳細を加味した上で精査し、最適な住宅ローンを提案している。
今まで、住宅ローンの提案はオペレーターが担っていたが、問い合わせから提案まで最長で3日程度かかっていたほか、多数の問い合わせがあると即座に対応できないなどの課題があったという。今回のAI使用により、瞬時の回答が可能になったほか、一度に多数のユーザーからの問い合わせに答えられるなど、大幅な効率化を実現した。
利用するには、ユーザー登録が必要になり、年収や勤続年数、職種などを記入していくことで、AIが各金融機関の審査に通る確率を判定し、借りられる可能性の高いローンを抽出するというもの。MFSが今まで蓄積してきた約1万件の住宅ローンに関するデータを機械学習し、最適な住宅ローンを導きだしているという。
MFS 代表取締役CEOの中山田明氏は「住宅ローンは審査に通るかどうかが重要。この部分をAIがきちんと担うことで、銀行に申し込む前にわかるようにしている。提案サービスではどの銀行の審査通るかの判断と、さらに具体的なアドバイスが必要であれば、オペレーターによるチャット機能も設けているので、安心して使っていただけると思う」と独自のポイントを説明する。
住宅ローンは、さまざまなサービスが登場している上、頻繁に利用するものではないため、ユーザー側での見極めが難しい。「金利が少し高くても団信がつくなど、単純に金利だけを比べればいいというわけではない。そうした情報を整理して、お客様に合わせて住宅ローンをマッチングしている。加えて、銀行の審査が通りづらくても、別の住宅ローンを組むことで審査が通るお客様もいる。お客様にあわせて金融機関とマッチングできることが私たちの強み」(中山田氏)と説明する。
一方で、「今はオンラインで住宅ローンを選ぶ人が増えている時代。そうなると金利の低い住宅ローンが選ばれてしまいがちで、差別化は難しい。お客様と銀行の間に私たちが入ることで、金利競争だけではない、本当に適した住宅ローンをマッチングできる。銀行側にも効率的にお客様をご紹介できる」(中山田氏)と金融機関にもメリットは大きいという。
現在、MFSがマッチングする住宅ローンの件数は月間で2000件程度。しかし日本における住宅ローンは年間で約70万件が実行されていると言われている。「今まではオペレーターによる相談窓口だったため、1日に数百の問い合わせがあるとおまたせしてしまっていた。AIを活用することで、その時間的なロスがなくなるため、より多くの方にご利用いただき、月間の利用数を数万件レベルにまで引き上げていきたい」(中山田氏)と今後を見据える。
将来的には相談件数を増やすことで、さらなる住宅ローンに関するデータを蓄積し、オペレータが担う相談内容も体系化し、返答できるようにするなど、さらなる自動化を進めていきたいとしている。
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