学生の間では、「ついスマホを触っちゃって勉強にならない。どうしよう」という声は多い。SNSの通知、ゲーム、動画など、スマホには誘惑が多く、ついつい手にとってしまい勉強が手につかなくなる学生は少なくない。
そんな中、勉強中の誘惑を絶ち、集中して勉強する方法は高校生たちにとって大切なことだ。高校生において流行中のスマホを活用した勉強法をご紹介したい。
一人ではなかなか集中できない場合、図書館や塾の自習室などの勉強せざるを得ない環境に行くことで集中しやすくなる。自宅では気が散るという学生は多く、中でもついついスマホを見てしまって集中できないという声は多い。自宅で勉強する際にはスマホの電源を切ることが必要なのだ。しかし、逆にスマホを勉強に集中するために使う方法もあるという。
「友だちとビデオ通話でつないで、一言も話さないでお互いに勉強するとすごく集中できる」とある高校生はいう。ZoomやTeamsなどのビデオ会議アプリを使うケースもある。大人世代でもClubhouseなどに黙って仕事をするための「仕事部屋」が複数できていたが、似たようなイメージだろう。
Studyplusにアカウントを作り、勉強時間を記録したり、同じ目的を持つ仲間同士で励ましあうという方法も多い。これをInstagramやTwitterで行うのが、いわゆる「勉強垢」だ。専用のアカウントを作り、目標や勉強時間などを公開し、勉強垢同士で励ましあう使い方をしている。
Instagramでは「#勉強垢」は254万件、「#勉強垢さんと繋がりたい」は166万件、「#勉強垢さんと一緒に頑張りたい」は57.3万件など、人気となっている。「クラスメイトとかには志望校とか勉強した時間とかは言いづらい。でも、勉強垢ならお互いに目標が同じとわかっているし、勉強したことを堂々と言えるからいい」。
TikTokでも「#勉強垢」は6億6300万回以上再生されており、やはり人気のハッシュタグだ。こちらは勉強中を撮影した動画のほか、TikTokらしく勉強法などのTips系も多く投稿されている。
最近注目されているのが、「タイムラプス勉強法」だ。Instagramで「#タイムラプス勉強法」は5.5万件投稿されており、人気が高まっている。
投稿を見ると、ノートに書いたり問題集を解いたりしている手元が映されており、時間の経過がわかるようアナログまたはデジタルの時計も写った動画が多い。時計の針の動きやノートがみるみる埋まっていくことで時間の経過がわかるというわけだ。
タイムラプス勉強法とは、勉強している手元と時計などをスマホでタイムラプス撮影し、SNSに投稿する勉強法だ。iOS端末ならカメラアプリの「タイムラプス」で撮影でき、Android端末ならFramelapseなどのアプリを利用すると撮影できる。
スタサプ編集部が高校生を対象に実施した調査でも、タイムラプス勉強法を「知っている」と回答した割合は61.1%と6割以上におよぶ。そのうち「やったこともある」は25.9%となっており、認知度、利用率ともに高いと言えるだろう。
TikTokでも「#タイムラプス勉強」は880万回、「#タイムラプス勉強法」は180万回再生されている。
では、なぜ学生たちはタイムラプスで勉強中の動画を撮影するのだろうか。それはSNSに投稿したいという気持ち以上に、大きなメリットがあるためだ。
その高校生がタイムラプス勉強法を始めた理由は、「先生に勧められた」のがきっかけという。「『勉強に集中できない』という悩みを相談したら、英語の先生が勧めてくれた。撮影しているからスマホに触れないのが良かった」。タイムラプス「勉強法」であるのには、わけがあるのだ。
撮影しているのでサボることもできず、集中しやすくなる効果もある。記録として残るので見返すことができ、やりきったときの達成感がとても大きいというメリットもあるという。
一方、スマホでの調べ物ができない、充電の減りが早いなどのデメリットもある。「すぐに充電がなくなっちゃうから、フル充電で撮影開始するか、充電しながら撮影している」。また動画を撮り続けるため、スマホの容量を食うのも要注意だ。「容量が足りなくて撮れなくなったことがある」という声もあり、十分に容量をあけて撮る必要があるのだ。
現代の学生たちは、スマホの利用をコントロールするだけでなく、学習にもうまく活用しているようだ。大人の勉強垢でも同様の使い方がされているので、気になる方はトライしてみてもいいかもしれない。
高橋暁子
ITジャーナリスト、成蹊大学客員教授。SNS、10代のネット利用、情報モラルリテラシーが専門。スマホやインターネット関連の事件やトラブル、ICT教育に詳しい。執筆・講演・メディア出演・監修などを手掛ける。教育出版中学国語教科書にコラム 掲載中。元小学校教員。
公式サイト:https://www.akiakatsuki.com/
Twitter:@akiakatsuki
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」