「アイマス シンデレラガールズ」10周年ツアー千葉公演で見た“新たな可能性を感じるステージ” - (page 2)

 10周年の当日となった2日目。そのオープニングナンバーは1日目とは異なり、アイドルマスターシリーズ15周年記念曲である「なんどでも笑おう」。シリーズ各ブランドのポーズをそれぞれに決めながら歌い、大きな拍手が沸き上がっていた。続くMCでは改めて10周年記念日であること、あわせて前説などのアナウンスを担当しているアシスタントの千川ちひろの誕生日であることも伝えられ、お祝いの拍手が送られていた。

「なんどでも笑おう」
「なんどでも笑おう」
「なんどでも笑おう」
「なんどでも笑おう」

 以降も1日目と同様にソロ曲や、複数人によるユニット曲が披露。立花さんによる「花簪 HANAKANZASHI」では、自身が初めて出演した「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 2ndLIVE PARTY M@GIC!!」で着ていた当時の衣装で披露したほか、朝井さんによる「Claw My Heart」は、有観客での披露が初めてとあって、後のトークでは無観客で歌ったことを振り返りつつ、プロデューサーさんの前で歌えたことの喜びを語っていた。「命燃やして恋せよ乙女」(立花さん、花井さん、三宅さん、森下さん)では、歌謡曲番組を彷彿とさせる五十嵐さんと松嵜さんによる曲紹介の演出からはじまり、曲中では、三宅さんが菜々として「千葉……じゃない、ウサミン星からきた乙女」と、とても気になる口上を言う一幕もあった。

(2日目)「ガールズ・イン・ザ・フロンティア」(朝井さん、嘉山さん、長島さん)
(2日目)「ガールズ・イン・ザ・フロンティア」(朝井さん、嘉山さん、長島さん)
(2日目)「ガールズ・イン・ザ・フロンティア」(朝井さん、嘉山さん、長島さん)
(2日目)「ガールズ・イン・ザ・フロンティア」(朝井さん、嘉山さん、長島さん)

 2日目に参加した安齋さん、井上さん、二ノ宮さんは、そろってライブ初出演。2021年春に開催された第2回ボイスアイドルオーディションにて、琴歌、七海、マキノが選出されたことによって決まったキャストで、この日は先輩と共演する形でパフォーマンスを行った。

 序盤から中盤にかけては2人のコンビとして、井上さんは五十嵐さんとともに「輝く世界の魔法」、二ノ宮さんは大橋さんとともに「メッセージ」、安齋さんは佳村さんとともに「We’re the friends!」を披露。また、「忘れられないあの出来事」をテーマにしたトークパートで3人が揃って参加。安齋さんはオーディションで極度の緊張に見舞われながらも、スタッフの優しい心遣いがあって落ち着いた状態で臨めたこと、井上さんは七海の特徴的な口調を練習していたら、日常でもその口調が出てしまったこと、二ノ宮さんはデレステのタイトルコール収録で、先に収録していた琴歌と七海のやわらかい喋り方と、クールなマキノの喋り方とであわせることに苦戦したというエピソードを、それぞれ語っていた。

 さらに、自身を含む3人での楽曲披露では、より個性を発揮するステージが展開。安齋さんは、五十嵐さんと松嵜さんとともに「Dreaming Star」を披露。この曲は相葉夕美のソロ曲で、琴歌と夕美はシンデレラガールズの世界で「フィオレンティナ」というユニットを組んでいる背景がある。3人が花の髪飾りをつけて、お花畑にいるようなキュートな雰囲気を生み出しながら歌うなか、安齋さんはお嬢様である琴歌の柔らかい歌声を響かせ、さらに曲中では夕美を意識したセリフや、“どやふんすっ▽(※ハートマーク)”と呼ばれる、自信があるときに見せる決め顔も披露していた。

 井上さんが歌ったのは「Treasure☆」。七海は“お魚系アイドル”を目指しており、アイドルの海へと乗り出すがごとく、大航海へ繰り出すこの曲を歌う。ミュージカル調の楽曲で、動きと表情豊かに井上さんが1人で歌うなか、航海のピンチに現れたのは大橋さんと青木さん。途中には七海がよく持っている「サバオリくん」も交えたサバの大群が映し出される演出もありつつ、2人の頼もしさを感じさせる歌声に支えられながら、井上さんがのびのびとパフォーマンスを行った。

 そして二ノ宮さんが、松井さんと長島さんとともに歌ったのは「Trancing Pulse」。シンデレラガールズ屈指のボーカルユニット「Triad Primus」の人気楽曲で、オリジナルメンバーの松井さんに、これまでのライブで数々の楽曲を歌ってきた長島さんという実力派の2人が左右で歌うなか、センターとしてステージに立った二ノ宮さんが、マキノを彷彿とさせるクールな表情から卓越した歌唱力の持ち主と感じさせる歌声を響かせる。それに呼応するかのように2人の歌声にも熱を帯びたものに。終盤での松井さんによる、ひときわ感情を込めた圧巻のソロパートも、二ノ宮さんによるパフォーマンスの高さが無関係とは思えないほどで、プロデューサーさんにとっても思い入れの強い楽曲を堂々とした姿で歌い切り、鮮烈な印象を残した。

 終盤では安齋さん、井上さん、二ノ宮さんの3人がそろって登場して歌ったのが「Let’s Sail Away!!!」。安齋さんが持つ優しい歌声、井上さんが持つ明るい歌声、二ノ宮さんが持つ芯のある歌声と、三者三様の個性を感じさせながら、船出を示す楽曲を歌っていた。

 「Let’s Sail Away!!!」(安齋さん、井上さん、二ノ宮さん)
「Let’s Sail Away!!!」(安齋さん、井上さん、二ノ宮さん)
 「Let’s Sail Away!!!」(安齋さん、井上さん、二ノ宮さん)
「Let’s Sail Away!!!」(安齋さん、井上さん、二ノ宮さん)

 この次に、ソロ・ユニット曲パートの最後として歌われたのは「ススメ☆オトメ ~jewel parade~」(青木さん、五十嵐さん、大橋さん、松嵜さん、三宅さん、佳村さん)。ここで登場した6人は、「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 1stLIVE WONDERFUL M@GIC!!」に出演したメンバー。本格的なライブ展開が始まったときからけん引し続けてきた6人が、一緒に先を目指す内容の楽曲をうたうという、初参加の3人に向けたエールと受け取れるようなものとなっていた。

「ススメ☆オトメ ~jewel parade~」(青木さん、五十嵐さん、大橋さん、松嵜さん、三宅さん、佳村さん)
「ススメ☆オトメ ~jewel parade~」(青木さん、五十嵐さん、大橋さん、松嵜さん、三宅さん、佳村さん)
「ススメ☆オトメ ~jewel parade~」(青木さん、五十嵐さん、大橋さん、松嵜さん、三宅さん、佳村さん)
「ススメ☆オトメ ~jewel parade~」(青木さん、五十嵐さん、大橋さん、松嵜さん、三宅さん、佳村さん)

 20人そろっての「EVERLASTING」で一旦締めくくったあと、アンコールを求める拍手のあとで流れた映像は1日目と異なり、ソーシャルゲームから始まったシンデレラガールズ10年の歩みをまとめた映像に加え、2022年に全編を公開予定としている10周年を記念したアニメ映像の冒頭部分も公開し、大きな拍手が巻き起こっていた。再度キャストが登場し、10周年を迎えたステージで歌えた感謝などを挨拶として伝えつつ、おなじみの「お願い!シンデレラ」で締めくくった。

 10周年ツアーのなかでも、10周年記念日にかかわる公演とあって、これまでのライブにおける集大成を感じさせるような、熱量の高い内容となっていた。もっともここで一区切りという意味合いのものではなく、楽曲を歌うメンバーによって彩られるイメージの違いや初参加のキャストといった新たな発見となるものも盛り込まれた内容で、ライブイベントを長年展開していてもなお、新たな可能性を感じさせるもの。さらに一新したキャスト陣による愛知公演や沖縄公演どのような楽曲が歌われるのか、表現される世界がより楽しみと思える公演となっていた。

 見どころとなる場面がさまざまあったなかで、あくまでも余談として、筆者が個人的に印象に残っているところが2つある。ひとつめは2日目に披露された「Gossip Club」(森下さん、佳村さん、和氣さん)における、森下さんの参加。もともとは“ギャル”なアイドル3人によるユニット「セクシーギャルズ」による“セクシー”と“ギャル”のイメージが全面に押し出された楽曲。オリジナルメンバーで“カリスマギャル”な美嘉のキャストである佳村さん、セクシーなプロポーションを持つユニット「セクシーギルティ」のメンバーでもある早苗のキャストである和氣さんが名を連ねた一方で、森下さんがキャストとなっている茄子は、“お正月”“和風”さらには“幸運”がイメージされるアイドル。これまで描かれた茄子の姿や歌われてきた楽曲なども考えるとギャップもあるように感じられるが、ソーシャルゲーム版において「[雪月花]鷹富士茄子+」で、ギャル系をイメージさせる派手なファッションをまとい、抵抗感を示すどころか、むしろこういうファッションも好意的な茄子の姿を描いたものがある。いわゆる“参加の伏線”はあった形だが、意外性が強かったのも正直なところだ。

 ステージでは、和氣さんがセンターを務め、佳村さんとともに存在感を示すパフォーマンスで魅了するなかで、森下さんもセクシーな振り付けやポーズ、魅惑の表情を浮かべながら歌う場面もあり、茄子の新たな魅力を感じさせるものに。何より新たな可能性を切り開くような楽曲や振り付けがあるステージで、茄子が素直に楽しんでいる、それが森下さんを通して伝わるものとなっていた。

 もうひとつは、こちらも2日目に披露された「ドレミファクトリー!」(神谷さん、嘉山さん、小市さん)。晴と光については前述の「LET’S GO HAPPY!!」で紹介した通り。加えて、嘉山さんがキャストとなっている珠美は、小柄ながら剣の道を志す“剣道娘”なアイドル。小学生アイドルが活躍する姿を描いたコミック「アイドルマスター シンデレラガールズ U149」発の楽曲で、オリジナルでは小学生アイドルの高い声が響き、にぎやかさが表れている楽曲だが、今回の3人ではにぎやかさは残しつつもカッコよさや勢いが感じられるものとなり、曲の新たな一面を見せるものとなっていた。

「ドレミファクトリー!」(神谷さん、嘉山さん、小市さん)
「ドレミファクトリー!」(神谷さん、嘉山さん、小市さん)

 そして唯一のオリジナルメンバーである小市さんがセンターに立ち、2人をけん引するかのように誰よりも大きく動き、誰よりも大きな声で、誰よりも高いジャンプで、誰が見ても聞いてもすぐに晴そのものと感じられるパフォーマンスを行っていたのが印象的。後のトークのなかで、小市さんが「ドレミファクトリー!」を踊るメンバーを増やして、みんなで歌いたいという願望を語る一幕もあったが、ローティーンアイドルが中心の楽曲「ハイファイ☆デイズ」が、ライブで歌われるたびに人数が増えていき、福岡公演では大人数の“お姉さんアイドル”とともに披露されたことを思えば、そのような未来が訪れることにも期待したいと思えた次第だ。

 なお本公演について、両日ともASOBISTAGEでのアーカイブ配信を期間限定で実施。配信チケットを購入することで視聴することが可能となっている。アーカイブ視聴期間は12月6日23時59分(チケットの販売期間は12月6日12時)までを予定。販売価格は各5000円(税込・機能利用料込)。

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