ベネデット・コトルリ――ほとんど知られていないイタリア商人の名前である。しかし、14世紀半ばにペスト(黒死病)がヨーロッパで猛威をふるい、ルネサンス、大航海時代へと続くイタリア地、中海世界にあって、彼こそ外交官、財務総監、造幣局長まで務めた「ビジネスパーソンの父」とも呼ぶべき人物である。
現代の私たちには想像が難しいが、中世のキリスト教社会では、聖職者、封建領主、軍人の地位と比べて商人の地位は圧倒的に低かった。だがコトルリは、商売こそが人間の生活にとって有益で必要不可欠なもので、人類の発展を支える唯一の手段でもあると主張する。同時に、商人にはリベラルアーツを学べと呼びかけるのだ。
そんなコトルリが書いた「商売術の書」は、複式簿記について世界で最初に記述した画期的な書物として近年脚光を浴びるようになった。そこから現代のビジネスパーソンにより響くポイントを選び抜いて編集したのが本書だ。会計やビジネススキルについての記述にとどまらず、「商売(ビジネス)とは何か??」「商人とはいかにあるべきか?」「儲けるとはどういうことか?」「どんな心をもつべきか?」など深い洞察に満ちた本になっている。
賢く、そして誠実に働けば、名誉と富を得られると説いたコトルリ。そんな彼のメッセージは、コロナ禍に生きる現代の私たちにこそ響くものがある。彼の15の黄金則を読みやすくまとめた本書から、ビジネスの本質を学んでみてはいかがだろうか。
今回ご紹介した「世界初のビジネス書」の要約記事はこちら。この記事は、ビジネスパーソンのスキルや知識アップに役立つ“今読むべき本”を厳選し、要約してアプリやネットで伝える「flier(フライヤー)」からの転載になります。CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス