Facebookのスマートグラス「Ray-Ban Stories」を試す--いろいろな点で既視感 - (page 3)

Scott Stein (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2021年09月20日 07時30分

 内蔵ストレージの容量は、Facebookによると30秒の動画約30本分、または静止画500枚分だという。1回の外出でこの容量がいっぱいになることはなかったが、筆者はスマートフォンも携行していた。Ray-Ban StoriesはスマートフォンアプリFacebook Viewに接続しており、写真を転送して本体のストレージを空けるのである。これはスマートフォンがそばにあることを想定しているが、数時間ならスタンドアロンのカメラ付きメガネとしても機能する。充電には付属のケースを使い、片方のつるのヒンジに隠された磁石でうまく固定される。つまり、Ray-Ban Storiesを使うには常にケースも必要ということだ。

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同梱されている充電ケース。充電にはこれを使用しなければならない。
提供:Josh Goldman/CNET

 ケースには充電のためのUSB-Cポートがあり、バッテリーは本体を数回(Facebookによれば3回)充電できるだけの容量を備える。本体とケースのバッテリー残量は、スマートフォン上のFacebook Viewアプリに表示される。ケースに入れると、30分で半量ほど充電でき、70分あればフル充電できる。

 BluetoothとWi-Fiにも対応している。スマートフォンとの接続にはオーディオ用に「Bluetooth 5」を用い、Wi-Fiは802.11acなので写真と動画のダウンロードは高速だ。

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これを付けて自撮りをするとなんとなく恥ずかしい
提供:Josh Goldman/CNET

プライバシーの問題:スパイメガネにならないか

 スマートグラスと社会の許容度という問題は、もうすっかりおなじみだろう。「Glasshole」(メガネの「glass」と「嫌なやつ」を意味する「asshole」の合成語)という言葉が生まれるほどGoogle Glassの栄枯盛衰があった2013~14年以来、カメラ付きウェアラブルをどう扱うか、根本的な問題解決には至っていない。Ray-Ban Storiesのレビュアー向けガイドにも、またFacebook Viewアプリのチュートリアルにも、プライバシーに関するガイドラインは数多く記載されており、各地の法律を順守すること、車の運転中や重機の取り扱い中には使わないこと、特定の公共の場では電源を切ること、などが主に推奨されている。片方のつるに電源スイッチも付いているが、写真や動画を撮影するよう具体的に発声したり、シャッターボタンを押したりしなければ、Ray-Ban Storiesが自動で何かするわけではない。

 フレーム前面の隅に白いLEDライトがあり、撮影中は点灯して周囲の人に知らせる(静止画を撮るときにはシャッター音も鳴る)が、これはあまり目立つようなものではない。実際、明るい日中だと、筆者のすぐそばにいた子どもたちも気がつかなかった。そのうえ、暗い色のカメラレンズも思った以上に目立たないので、こっそり感は予想以上だった。目立たずに着用するにはもってこいで、ほとんどの人はカメラが内蔵されているとは思いもしないだろう。

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Facebook Viewアプリ。メガネを携帯電話とペアリングし、写真やビデオを保存する。
提供:Scott Stein/CNET

 新しいFacebook Viewアプリは、安全に写真を保存できる場所であり、写真が他のアプリに共有されることも、ターゲット広告のためにFacebookに分析されることもないと約束している。ただし、FacebookやInstagramにアップロードすると、その瞬間からFacebookのSNS標準のプライバシー規則が適用されることになる。またFacebookは、カメラの使用状況データをターゲット広告に使うことはないとしているが(Ray-Ban Storiesで見聞きされた内容も同様)、Ray-Ban Storiesの使用状況(撮影した写真の枚数、使用時間など)をFacebookが分析することを許可する設定はある。それを使って「製品体験を改善し、パーソナライズする」という名目だ。筆者はずっと、この機能をオフにしている。

Facebookの次なる戦略は

 インターネットに接続したサングラスとして、Ray-Ban Storiesは、普通のメガネにもテクノロジーを搭載できることを示している。しかしFacebookのウェアラブル機器への展望には、スピーカーやカメラ以上のものが含まれている。Facebookは現在、プロトタイプのメガネでセンサー群をテストして、将来のデバイスが世界をどのように認識してマッピングできるかを確認している。これはFacebookが未来のARヘッドセットに望んでいることだ。また、どこかのタイミングで、神経伝達機能を備えたリストバンドとスマートウォッチが、ジェスチャーを読み取ったりヘッドアップディスプレイに映し出される仮想の物体にタッチしたりする手段になるだろう。

 Facebookが次にスマートグラスで何をするのかというのは、興味深い題材だ。Facebookはフランスの光学機器メーカーEssilorLuxotticaとの複数年にわたるパートナーシップを発表している。この提携はRay-Ban Storiesのようなベーシックな機能のスマートグラスから出発することになったが、はるかに高度なものを生み出そうとしていることは明らかだ。それはつまり、内蔵ディスプレイや空間オーディオによる--バーチャルと現実の融合だ。もっとも、現時点ではいずれも実現していない。

 今のところ、Ray-Ban Storiesの最大のウリは、それがRay-Banブランドのサングラスだということだ。実際に装着して突然生き生きと音を出すのを聞くと、未来の話のような気もしてくるが、一方で機能的には今のところ限られている。落胆する人も安堵する人も、その両方という人もいるかもしれないが、Facebookの真のAR戦略の実現にはもう少し時間がかかるだろう。もし数百ドル出すからには複合現実(MR)機能がどうしても欲しいという場合、「OculusQuest 2」がすでにその世界に参入しつつある。それに、Ray-Ban Storiesも、いつか進化を遂げ、野望を達成するかもしれない。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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