4カ国の中央銀行が、国境を越えたデジタル決済を処理する共通プラットフォームの開発とテストで協力する。この構想の狙いは、仲介者の必要性を排除し、取引にかかる時間とコストを削減することだ。
シンガポール金融管理局(MAS)、オーストラリア準備銀行(RBA)、マレーシア国立銀行、南アフリカ準備銀行は現地時間9月2日、国際決済で中央銀行デジタル通貨(CBDC)を利用するためのテストに取り組むことを共同声明で明らかにした。
中央銀行4行は、シンガポールにある国際決済銀行(BIS)のイノベーションハブセンターと協力して、複数のCBDCを使用する共有プラットフォームのプロトタイプを構築することを目指す。目的は、それぞれの中央銀行が発行するデジタル通貨を使用して、金融機関が相互に直接取引できるようにすることだ。実現すれば、現在このような越境取引の処理に利用されている仲介機関の必要性を排除できるため、全体的な時間とコストを削減できる可能性がある。
BISはCBDCの主要な支持者であり、こうしたインフラは、協力する意思のある国家間で国境を越えた決済をする際に効率を高める可能性を秘めていると述べた。たとえば、共通規格への対応や国際決済システムの確立など、さまざまな水準の統合や協力を通じて実現できるとしている。
BISが実施した中央銀行の調査によると、86%が積極的にCBDCの可能性を探っており、60%がこのテクノロジーを試している。14%はパイロットプロジェクトを導入しているという。CBDCは、個人が主に企業や店舗などに支払う(リテールCBDC)、あるいは金融市場で金融機関の間で取引を行う(ホールセールCBDC)場合に利用可能だとBISは説明している。
このプロジェクトでは、複数のパートナーと共同で、さまざまな分散型台帳テクノロジープラットフォームで技術的なプロトタイプを構築する。このパートナーシップは、さまざまなガバナンスや運用の枠組みを模索し、異なる法域や運用地域で中央銀行がCBDCインフラを共有できるようにする。
パートナーらは、2022年の早い時期に取り組みの成果を公開することを目指すとともに、2021年11月にSingapore FinTech Festivalで共有プラットフォームの技術的なプロトタイプについて紹介する予定としている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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