Coinbaseは8月19日、日本での暗号資産取引サービスを開始した。同日より、専用のiOS/Androidアプリやウェブサイトから取引サービスが利用できるようになる。
同社は、2012年に米サンフランシスコで創業。これまで100カ国以上で展開しており、延べ6800万のユーザーを抱える暗号資産取引サービスの大手。預かり総資産は1800億ドル(約19.8兆円)、四半期取引量は4620億ドル(約50.8兆円)を超える。セキュリティ専門チームを世界各国に置き、創業以来、一度もハッキングによる資産流出がなく、個人投資家以外にも、Fortune500企業や機関投資家、ヘッジファンドなども利用。2021年4月にはナスダック市場に上場している。
今回のサービスローンチでは、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ライトコイン(LTC)、ビットコインキャッシュ(BCH)、ステラー(XLM)の売買に対応。取り扱いコインについては順次拡大する予定という。販売手数料は1.99%、Coinbase, inc.をカバー取引先として採用し、6800万ユーザーが参加する取引板への実質的なアクセスが可能と謳う。また、取引以外にも、特定の暗号資産の取り組みを学ぶことでコインがもらえるキャンペーンなども展開する。
さらに、三菱UFJ銀行と決済パートナーとして連携し、同行の口座を持つユーザーであれば、ネットバンキングを通じ、数クリックで日本円の入金が完了する「クイック入金が」利用できる。ただし、現時点ではMUFG以外からの日本円の入金には対応しておらず、順次拡大予定としている。
なお、Coinbaseの日本市場参入には、3年以上の歳月がかかっている。2018年に、元モルガン・スタンレーのインベストバンカーで、「お金のデザイン」のCOOも務めた北澤直氏がCoinbase日本法人の代表取締役に就任。2021年6月には、金融庁の暗号資産交換業者として登録を受け、規制当局と協議しながら今回のサービス開始に至っている。長い準備期間を経た同社だが、参入のタイミングについては「素晴らしいタイミング」と北澤氏は語る。
「Coinbaseは、最も信頼されることを一つの戦略としているが、法的枠組みがしっかりしていることは我々にとってありがたい」と、日本の暗号資産法制を評価。同社の日本参入までの期間中、外部環境としては複数の事象・トラブルを経て法律改正などが施行されたが、結果、「(日本は)先進的な枠組みを作って顧客保護やマネロンにいち早く配慮している。かつ私どものようなグローバルプレイヤーにも聞く耳を持っており、法令の適用関係をディスカッションできた」としている。
今後は、取引サービス以外にも、トレーダーや機関投資家向けのサービスなどを展開予定。さらに、通貨として暗号資産を利用できるよう、小規模コマースの分野でもサービスを計画しているという。なお、米Coinbaseでは、Apple PayやGoogle Payを経由して、暗号資産を使った決済サービスをスタートさせているが、日本展開については、「グローバルで享受するサービスを日本でも限りなく提供したい。ペイメントアグリゲーターとの協業は一つの差分として認識している」としつつも、「現時点で決まったことはない」と述べるにとどめた。
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