ダッシュボードは、人口データ、ワクチン接種記録データ、ワクチン供給実績データの3つを用いている。具体的には、国・都道府県・市区町村ごとに接種状況を可視化できるほか、データをダウンロードしてさらなる分析も行える。
5月中旬にIT総合戦略室が構築し、厚労省、日本医師会らにも権限を共有して使用してきたという。
小林氏は、「現状VRSの入力のインターフェースでご苦労いただいているという声はあるが、なんとか現場に入力していただいている。それによって、おそらく日本で初めて、これほど毎日リアルタイムにデータを見ながら政策決定をしている。これまではなかったことだろう」と説明する。
具体的な例として、小林氏は菅総理が5月に「1日100万回接種する」と掲げた時のことを振り返った。
「当時、接種会場になるクリニックは2万もなかった。これだとなかなか(実現が)難しいだろうと考えたときに、接種の単価が1回2070円だったが、一定数以上を打ったら(金額を)倍にするとした。1日平均20回、週100回打っていただいたら、2070円が4000円になる。5万の医療機関が20回ずつ打つと100万回になる、という施策を打った。いま結果どうなっているか。5万5000件のクリニックが接種に協力いただいている状況。これはデータを見ていたからこそできた意思決定だと思っている」(小林氏)
なぜこのタイミングで共有範囲を広げたのか。「都道府県にも早くから共有したいという思いはあったが、都道府県外のすべてが見られる権限。情報が外にでれば過剰な競争をあおることになるのではないかという懸念があった。今回、調整枠を持っていただくにあたり、権限も一緒に持っていただくことにした」(小林氏)と背景を説明した。
同日、都道府県向けに説明会を開催し、ダッシュボードの利用申請があった都道府県にはさっそく権限の付与を開始したという。
ワクチンの供給見込みは、6月までにファイザー製が1億回分配られている。それに続いて、7月~9月で約7000万回分が配られる。一方でモデルナ製も9月末までに5000万回分が配られる予定で、合わせると9月末までに2億2000万回、1億1000万人が2回打てる量のワクチンが日本に入ってくる見通しだ。
「希望する国民のみなさんすべての皆さんが2回ワクチン接種できる量が9月末には国内に入ってきて、10月初旬までには配られる」(小林氏)とし、予約受付の解消に向けた施策と接種スピードの最適化に向け取り組んでいく。
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