Mozillaは、ユーザーが自分のデータをどのように共有するかを制御できる新しいデータ共有プラットフォーム「Rally」をリリースしたと発表した。
「Firefox」のアドオンであるRallyでは、新しいリソースやツール、「場合によっては、一般のユーザーがより良いインターネットを構築し、技術の悪用に反撃できるポリシー」の作成に焦点を当てた調査研究にデータを提供できる。
Mozillaのデータサイエンス担当ディレクターでRallyの開発に携わったRebecca Weiss氏は、米ZDNetの取材に対して、Rallyは「ユーザーに発言権を与えずにデータを利用する企業ではなく、ユーザーが自分のデータにアクセスできる者を選択でき、そのデータを公益のために役立てられたらどうなるか」という疑問に答えようとするものだ、と語った。
「Rallyは、プライバシーと透明性を中核に据えてブラウザー用に開発され、より良いインターネットやより良い社会のためのクラウドファンディングプロジェクトにブラウジングデータを提供できるようにする。各プロジェクトに携わる研究者は、ソースを明確に理解し、データプライバシー規制に沿ったデータであるという確信を持って、より質の高いデータを得られる」(Weiss氏)
MozillaはRallyを、データ制御という厄介な問題に取り組む「この種で初めての」プラットフォームと表現している。Mozillaがこれまでに実施してきた調査から、米国では多くの人々が、データについて自分に選択肢がないことに不満を抱いていることが明らかになっている。大半のユーザーには、防御用ツールを利用してすべてのデータ収集をブロックするか、すべてのデータがユーザーの同意なくオンラインサービスに利用されるのを許す以外にほとんど選択肢がない。
Mozillaは、データをめぐる公正な市場の必要性を示すことで、「監視経済のデータ慣行を覆す」ことを目指していると述べた。
ユーザーは、Firefox向けに提供されているRallyアドオンをインストールし、サインアップしてから、貢献したい研究を探す。研究者の側は、それぞれの調査研究が何に焦点を当てているのか、ユーザーのデータがどのように使われ、最終的にどのように処理されるのかについて、詳しく説明することになる。ユーザーは自分の情報を完全に制御でき、好きなときに取り戻せる。
Weiss氏は米ZDNetの取材に対し、Mozillaは長年にわたってデータエコシステムの問題に懸念を抱いており、データエコシステムのさらなる革新に関心があるとした。同氏はさらに、まずは内部で使っているツールや機能を拡張してユーザーの新たな問題に適用することから始めたと述べた。
「われわれはまた、より多様なコミュニティーと協力したいと考え、まず公益問題の研究者から始めた。プリンストン大学Jonathan Mayer氏のグループと協力して、ユーザーデータの収集と管理をするツールを開発した。これらのツールは研究者が必要とする正確性を有していながら、ユーザーに多くのデータの提供を求めることはない」(Weiss氏)
「われわれは、ユーザーがどれだけのデータをどの組織に対して、何の目的のために共有するかを選択できるようにする。ユーザーは公益のためにデータを提供するだけでなく、見返りとして、どのようにしてデータが活用され追跡されているのか、その全体像を知ることができる」(同氏)
MozillaはRallyの目的について、「すべての関係者が公正に扱われる、データのための公正な市場の存在を示すこと」と説明し、「この旅路に加わりたいと考える使命感を持った組織を歓迎する」とした。
Rallyは米国の20歳以上のデスクトップ版Firefoxユーザー向けにのみ提供されている。将来的には他のブラウザーや他の国にも提供を拡大していく予定だという。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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