カリフォルニア州サンフランシスコを拠点とするXwingは、ゲートツーゲート(離陸ゲートから着陸ゲートまで)の自律飛行を初めて実現したとして、動画を公開している。
Xwingは、自動操縦技術を地域の航空貨物輸送に導入することを目指している。自動化をめぐる世界的な競争で見落とされている分野かもしれないが、500マイル(約800km)以内の予測可能な経路と商業的な重要性の高さから、自律飛行の分野に参入するには興味深い分野だ。Xwingは、既存の航空機とシームレスに連携して地域の無人飛行を可能にするソフトウェアスタックを利用し、満たされない物流需要が増大する中で、足がかりを得られることに期待している。
Xwingの創設者で最高経営責任者(CEO)のMarc Piette氏は、「過去1年間、われわれのチームは、当社の『AutoFlight system』を拡張、改良し、地上走行、離陸、着陸、そして飛行の操作をシームレスに組み入れることに関して、格段に前進した。これらはすべて冗長性のあるデータリンクを通じてミッションコントロールセンターから監視されている」と話す。「加えて、当社の有人の商業貨物オペレーションは、新型コロナウイルスワクチンを含む重要な物資を、2020年12月から遠隔地のコミュニティに配送している」
先日のフライトでは、「Cessna 208B Grand Caravan」がゲートを出て、地上走行、離陸、着陸、そしてゲートに戻るまでの行程をすべて自動でやってみせ、話題となった。このフライトは遠隔で監視され、航空管制とのやり取りはすべて地上から行われた。
最近では複数の企業がエアタクシーを導入しようと取り組んでいる。乗客を目的地まで道路の上空を飛んで運ぶというものだ。筆者が以前にも書いたとおり、航空分野では長らく無人ドローンがその一角を占めてきたが、自動操縦航空機の規制当局が扱ってきたのはドローンだけではない。自動運転車が実現の途上にあることは間違いなさそうだが、自動操縦航空機についての話は、あまり聞こえてこなかった。だがそれも変わる。最近の、自律システムの障害に起因するBoeingの「737MAX」の墜落事故で、自律システムに対する消費者の信頼は大きく損なわれたと思うだろう。だが、ANSYSが2019年6月に発表した調査結果によると、それほどでもないようだ。実際、消費者の約7割は、一生のうちに自動操縦航空機に乗ってもいいと回答した。
Xwingは良い時期に市場に参入したようだ。調査によると、2025年までに世界で3万4000人のパイロット不足が発生するという。高速配送の需要の増加により、物流もゆとりがない状態だ。Xwingは自社技術をeコマースの物流向けに活用し、小規模な空港へのアクセシビリティの強化と貨物輸送の効率化を実現する計画だ。
Piette氏は2020年、「航空輸送の未来は自動化にある」と話していた。「完全自律飛行への道は航空貨物から始まり、無人航空機をリモートのオペレーターが監視する」(Piette氏)
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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