「Oculus Rift」の発売から5年--仮想現実の変遷を振り返る - (page 2)

Scott Stein (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2021年04月05日 07時30分

 PCに接続する形のVRは今も存在するが、未来は全く違ったものになっている。スマートフォンVRとPC VRの融合という筆者の夢は、「Oculus Quest」ですでに実現した。Oculus Questは、一体型の小型デバイスが今後進む方向性を示している。今はVRで、次は拡張現実(AR)メガネだ。2016年にOculus Riftの最終的な小売版を筆者が試したとき、コントローラーとして箱の中に入っていたのはベーシックな「Xbox One」のコントローラーだけで、筆者は、広大な可能性を持つ未来を想像したが、大きな機器につながれたままなのだろうと思っていた。それが今では、数秒で頭に装着できる形になっている。2016年当時の自分が2020年秋に発売された「Oculus Quest 2」を見たら、熱狂していただろう。

最初のOculus Rift
最初のOculus Riftには、ヘッドセット、カメラセンサー、Xbox Oneのコントローラーが含まれていた
提供:Scott Stein/CNET

 しかし、Oculus Riftの5周年は、Oculus Riftの死でもある。親会社のFacebookはOculus Riftの販売を終了し、今後はOculus Quest 2のみをVRデバイスとして提供する。Oculus Questは、USB-Cケーブルを介してPCと連携するが、FacebookによってキュレートされるクローズドなOSとアプリストアも備え、使用するには、Facebookへのログインが必要となる。Oculusの完全な「Facebook化」が現実になったのだ。また、Facebookの最終的な目標は未だに流動的で、未来のヘッドセットは、現在のVRヘッドセットよりも、常時着用型のARメガネに近づいていく可能性が高い。

 Oculus創業者のPalmer Luckey氏が支持した初期のVRの未来を夢見ていた人々は、間違いなく腹を立てているだろう。Facebookが没入型プラットフォームに関して計画していることを懸念する人もいるかもしれない。現在のところ、Oculus Quest 2は素晴らしいデバイスであり、Oculus Riftが目指していたものを完成させた形になっていると言える。だが、それには犠牲も伴っている。Oculus Riftは、筆者が何年もの間に使用してきたガジェットの中で最高のものだと今でも思っているし、Oculus Riftのデモは、この15年間テクノロジーについて取り上げてきた中で、最も記憶に残る体験だった。

一体型のOculus QuestとOculus Quest 2
一体型のOculus QuestとOculus Quest 2
提供:Scott Stein/CNET

 ソニーが新しいPS VRの準備を進め、QualcommとMicrosoftが複合現実を進化させ、GoogleやAppleなども待ち構えている状況で、Facebookはそうした世界と共存するために何をするのだろうか。その答えは、まだ誰にも分からない。

 コロナ禍が始まってから1年が経過し、その間に、世界の大部分で仮想空間が利用されるようになった。VRは突如として、かつてないほど関心を集めるようになったが、万人向けのツールになる段階にはまだ達していない。だが、VRについてこれまで考えたこともなかった多くの人々にとって、以前よりもはるかに興味深いものになりつつあるのも事実だ。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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