シャープ戴会長、「正々堂々の経営」徹底へ--マスクは生産から1年で2億枚達成 - (page 2)

マスクの生産開始から丸1年が経過、健康医療事業通じ社会に貢献

 戴会長兼CEOは、「海外におけるシャープブランドの拡大は、白物家電事業だけでなくブランド事業全体の重点課題のひとつであり、これを強力に推し進めるべく、新たにCEO直轄の推進本部を設置する」と説明した。同組織は4月1日付で設置されるが、組織名はまだ明らかになっていない。

 さらに、シャープ製マスクの累計生産枚数が、3月25日に、2億枚に達したことを報告。「マスクの生産を開始してから丸1年が経過し、先週、2億枚を達成した。マスクの取り組みに加え、高性能フェイスシールドや光触媒スプレーの販売、蓄冷材を活用したワクチン輸送への貢献など、コロナ禍における社会貢献に力を入れてきたが、今後も引き続き、『健康医療事業』を通じて、社会への貢献と事業の拡大を両立していく方針である。他社への出資も含め、さまざまな取り組みを加速していく」とした。

 なお、マスクの累計生産2億枚達成を記念して、COCORO STOREにおいて、3月31日から新たなキャンペーンを開始する。

シャープ製マスクの累計生産枚数が、3月25日に、2億枚に達した
シャープ製マスクの累計生産枚数が、3月25日に、2億枚に達した

 2つめのデバイス事業では、「シャープは、『強いブランド企業』を目指しており、これを支えるデバイス事業は、他社との積極的な協業を進め、競争力を強化していく」と述べた。

 4月1日付でカメラモジュール事業を分社化し、シャープセンシングテクノロジー(SSTC)を設立。「これですべてのデバイス事業の分社化が完了する」と位置づけたほか、電子デバイスにおいては、4月1日付で、シャープ福山レーザー(SFL)を、シャープ福山エレクトロニックデバイス(SFED)に社名変更。他社からの成長資金をテコに事業を拡大するSFEDと、ファブレスで設計と開発を強みとするシャープ福山セミコンダクター(SFS)の役割を明確にするための体制の見直しも行うという。

 3つめの中長期的な成長に向けた人材育成については、「ほかの日本企業と同様に、シャープの人員構成は高齢化しており、事業の継続性の観点から、若手社員の育成が急務である。また、中長期での持続的成長に向けては、人材の多様化を進め、オールシャープの総合力を一層高めなくてはならない」と前置きし、「今後も引き続き、優秀な若手社員を、より責任があるポジションに登用し、ベテラン社員との融合を図るとともに、社員一人ひとりの能力の『質の向上』や『幅の拡大』のほか、さまざまなスキルを持った新たな人材の獲得なども、より積極的に進めていく。これを支える仕組みとして、4月以降、事業責任者に不可欠な経営スキルの習得を狙いとした社内研修や、リーダーシップ力の強化を狙いとした社外研修を開始するとともに、自己研鑽支援にも一層力を入れていく」と述べた。

 また、戴会長兼CEOは、「2021年度になすべきことは、事業ビジョンの実現に向け、時代の変化に機敏に対応して、自らの事業を変革し、中長期的な成長を支える強固な事業基盤の構築を図ることである」などとした。

 一方、戴会長兼CEOは、「巣ごもり消費による物量の増大や、スエズ運河におけるコンテナ船の座礁事故などの影響により、輸送コストの上昇や配送の遅延が発生しており、足元での事業リスクとなっている。これまでも、ロジスティクスについては、SJL(シャープジャスダロジスティクス)と連携し、効率化に取り組んできたが、今後はサプライチェーン全体を視野に入れつつ一層強化していく」と語ったほか、「第3四半期決算発表が約1カ月遅れたことや、日本で緊急事態宣言が続いていたこと、欧州でも再びロックダウンが行われているなどの理由から、次期中期経営計画の発表は、2020年度本決算以降に延期することにした」と報告した。

 そして、最後に、改めて、今回のCEOメッセージのテーマである「正々堂々の経営」について言及。「いま、私たちがなすべきことは明確である。それは、『正々堂々の経営』を実践するとともに、『事業ビジョンの実現』に向けた事業変革を加速し、新たな時代を勝ち抜く、『強いブランド企業“SHARP”』の確立を目指すことである。力強く歩みを進めていこう」と、社員に呼びかけた。

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