Appleの最高経営責任者(CEO)であるTim Cook氏は米国時間1月28日、オンラインで開催された「International Data Privacy Day」のパネルディスカッションに参加し、何度もあからさまにFacebookを攻撃し、国際的なデータプライバシー改革を求めた。
Cook氏がFacebookに言及した中で、注目すべきは次の発言だ。「誤った方向へのユーザーの誘導やデータの搾取、実際には選択とは言えない選択を基盤としている企業は称賛に値しない。そのような企業にふさわしいのは改革だ」「ソーシャルのジレンマが、ソーシャルの大惨事になるのを許すわけにはいかない」
Cook氏はパネルディスカッションで、消費者のプライバシーの保護強化と、より広範な業界改革を繰り返し求めた。また、Appleのポリシー「App Tracking Transparency」(ATT)など、透明性に関する同社の新しい取り組みを自賛した。
同氏は「手始めは、単純だが画期的なアイデアである『プライバシーの成分表示ラベル』だ。Apple製のものも含め、すべてのアプリがデータ収集やプライバシー慣行を開示しなければならない。App Storeではこれらの情報を、すべてのユーザーが理解して対処できる形で表示する」と語った。おそらく、Apple製アプリは同社のプライバシー規則に従わなくてよいとするFacebookからの批判を念頭に置いたものだろう。
Appleユーザーは長年にわたってATTのような機能を求めており、同社は開発者と緊密に協力し、透明性に関するこの機能を実装する時間を与えてきた、とCook氏は語った。その傍ら、同社は収集するデータを全体的に減らす方向へとシフトし続けており、それには業界全体に及ぶ国際的な改革が必要だという。
「現在、ユーザーは時間をつぶしたり、友達に連絡したり、飲食店を探したりするのに使っているアプリが、撮影された写真や連絡先情報、食事や睡眠や祈りの際の位置情報を送信しているかどうかを把握していない可能性がある」とCook氏は述べ、「ATTが真に機能すれば、ユーザーはこの種の追跡行為に異を唱えることができる」
Cook氏は、名指しこそしなかったものの実質的にFacebookを非難し、大衆のニュース消費を操作したり、ハイパーターゲティング広告を提供するために収集したユーザーデータを悪用したりする一方で、政治的二極化や誤情報の拡散を助長したと責めた。
「エンゲージメント率が高いというだけで陰謀論や暴力の扇動を優先表示することによって何が起こるだろうか?」とCook氏は問いかけた。「命を救うワクチンへの不信感を植え付けるコンテンツを容認するばかりか、報酬を与えることで何が起こるだろうか?何千もの人々が過激派に参加したらどうなるだろうか?」
Facebookは米CNETへの電子メールで、Cook氏の発言に反論した。
「われわれは何度も言ってきたように、AppleがApp Storeの管理権限を利用し、アプリ開発者や小規模企業を犠牲にして儲けることで、反競争的な行動を取っていると考えている」とFacebookの広報担当者は述べた。
この反論は、FacebookのCEOであるMark Zuckerberg氏が27日の決算発表会で述べた以下のコメントと同じ趣旨のものだ。
「Appleには、プラットフォーマーとしての支配的な地位を利用して当社のアプリや他のアプリの動作を左右するあらゆる動機があり、そうした行為は自社製アプリを有利にするために常習的に行われている」
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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