米情報機関、令状なしに米居住者の位置情報を購入

Laura Hautala (CNET News) 翻訳校正: 湯本牧子 高森郁哉 (ガリレオ)2021年01月25日 11時45分

 米国防情報局(DIA)が、米国居住者に関するデータを含む位置情報を令状なしに収集しているという。The New York Timesが入手し報じた文書によって明らかになった。DIAは複数のデータブローカーから情報を購入しており、ブローカーは多くの場合、ユーザーのスマートフォンにインストールされているサードパーティーのアプリから情報を得ているという。この文書は、Ron Wyden上院議員(民主党、オレゴン州選出)らからの情報提供要請に対するDIAの回答書で、DIAは米居住者の位置情報の利用に一定の制約を課していると説明している。

位置情報のイメージ
提供:Getty Images

 この慣行は、情報機関がいかに米居住者の位置情報を令状なしに収集しているかを浮き彫りにするものだ。ただし、2018年の米最高裁判所の判決で、そうした行為には令状が必要との判断が示されていた。「Carpenter判決」として知られるこの裁定では、合衆国憲法修正第4条に基づき、捜査機関がある人物のあらゆる移動を時系列で列挙できるデータにアクセスするには、より厳しい条件が課されるべきだとした。

 DIAは文書の中で、「DIAはCarpenter判決を、諜報を目的とした商用データの購入または使用を承認する司法令状の取得を義務づけるものではないと解釈している」と述べた。

 文書によると、DIAが購入している位置情報は米国と外国のデータが混在しているという。DIAは米居住者のデータを、アクセスに特別な権限が必要な別のデータベースに置いているとおり、このデータベースは過去2年半の間に5回アクセスされたという。

 VICEは2020年11月、サードパーティーのデータブローカーが「Muslim Pro」というイスラム教の礼拝時間を知らせるアプリなどを通じて集めたデータを、米特殊作戦軍(USSOCOM)が購入していたと報じた。後にアプリの開発元はユーザーの位置情報の販売をやめることを明らかにしている。10月にはBuzzfeed Newsが、米国土安全保障省が令状を取らずに電話の位置情報を収集していたことを示す内部文書について報じていた。同省は11月、この問題について内部監査することを明らかにした

 プライバシー権を唱道するWyden議員は米国時間1月21日、連邦議会議事堂での発言でこの慣行を批判した。同議員はデータブローカーらを「卑劣で野放図」と呼び、Joe Biden大統領が国家安全保障局長官に指名したAvril Haines氏にこの問題への対処を強く求めた。

 「政府が法律や合衆国憲法修正第4条の令状主義における法の抜け穴を使っているかどうかについて、米国民に周知させることは特に重要だ」(Wyden議員)

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]