緊急事態宣言が発令されている最中、日々新しいデマが飛び交っていたことは記憶に新しい。「製造元が中国なので次はトイレットペーパーが不足になる」というデマによってトイレットペーパーが店頭から消えたり、「26〜7度のお湯を飲めば感染防止になる」というデマによってお湯を飲んだり、エアコンを掛けたりする人が身近にいたという人も多いだろう。
実は10代にもデマは流行していたようだ。10代とデマの関係について見ていきたい。
総務省の「新型コロナウイルス感染症に関する情報流通調査」(2020年6月)によると、95%以上の人が平均1日1回以上、2割程度の人が1日10回以上、新型コロナウイルス関連の情報やニュースを見聞きしている。はっきりしたことがわかっていない感染症のため、情報を求める人が多かったことがわかる。
新型コロナウイルスと言えば、デマが多かった印象だが、それはデータ上でも現れている。新型コロナウイルス感染症に関する17の間違った情報や誤解を招く情報について1つでも見たり聞いたりした人は、全体の72%となんと7割以上がデマやフェイクニュースを見聞きしていた。
17のデマやフェイクニュースには、たとえば「納豆を食べると新型コロナウイルス予防に効果がある」「花崗岩などの石はウイルスの分解に即効性がある」「漂白剤を飲むとコロナウイルス予防に効果がある」「日本政府が4月1日に緊急事態宣言を出し、2日にロックダウン」「武漢からの発熱症状がある旅客が、関西国際空港の検疫検査から走って逃げた」「新型コロナウイルスは、中国の研究所で作成された生物兵器である」「新型コロナウイルスについて、中国政府が『日本肺炎』という呼称を広めようとしている」などの聞いたことがあるデマが並ぶ。見たり聞いたりしたことがあるという方は多いのではないか。
1つでも「正しい情報だと思った・情報を信じた」は28.8%、1つでも「正しい情報だと思った・情報を信じた」あるいは「正しい情報かどうかわからなかった」は76.7%となった。多くの人がデマやフェイクニュースなどに惑わされ、正しい情報がわからなかった実態がよく分かる。
中でも、若い世代ほどデマ・フェイクニュース情報を信じてしまった割合が高く、10代では36.2%、20代でも34.4%に達している。
新型コロナウイルス関連の情報・ニュースを見聞きしたメディア・サービスは、全年代では「民間放送」(71.6%)、「Yahoo!ニュース」(62.6%)、「NHK」(50.5%)となった。
一方、10〜20代は大人世代と異なり、情報もスマホで収集。「LINE NEWS」「Twitter」「YouTube」「Instagram」の割合が高く、特にTwitterは10代の51.2%、20代の49.8%と、それぞれ約半数がよく見ていた。また新型コロナウイルスの情報を知る際に利用するメディア・サービスも、10代20代は「LINE NEWS」「Twitter」の割合が高く、特にTwitterは10代の31.6%、20代の29.3%と約3割が情報源としていた。
さらに、新型コロナウイルス感染症に関する間違った情報や誤解を招く情報を見聞きした場合に、共有・拡散したことがある人は35.5%。こちらも若い世代ほど共有・拡散した経験が高い傾向にあり、10代は45.2%、20代は41.1%と4割以上がデマを広めてしまっている。
共有・拡散の方法については「家族や友人、同僚などとの会話・電話・メール」(29.2%)、「家族や友人、同僚などとのメッセージアプリ(LINEなど)」(11.8%)が多かった。身近で親しい人に役立つと思って、あるいは興味深い情報という理由で送っているケースが多いようだ。
同時に、具体的な17の新型コロナウイルス感染症に関する間違った情報や誤解を招く情報を見かけたことがあるサービス・メディアは、「Twitter」が57.0%で約6割とトップに。続いて「ブログやまとめサイト」(36.5%)となっていた。
Twitterは匿名で複数アカウント所持ができる上、リツイートという拡散しやすい機能があり、デマが広まりやすい。またアフィリエイト収入目的で運営されている一部のブログやまとめサイトは、耳目を集める内容であれば内容に信頼性が乏しくても投稿され、Twitterなどで拡散されてしまう。
若者の情報源だったTwitterには、上記のような理由で特にデマやフェイクニュースが拡散されやすい傾向にある。若者が好意あるいは興味半分に拡散することで、デマがこれほど広く広まってしまったと考えられるのだ。
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