「Supernatural」は、家庭でプレイできる新しい仮想現実(VR)のフィットネスゲームだが、これがなかなか手ごわい。筆者はかなり汗をかくので、1回15分のワークアウトのたびに水をコップ5杯分もがぶ飲みしなければならない。初めて試したときなどは、翌朝の筋肉痛がひどく、階段を下りるのもひと苦労だった。腕を振り回してターゲットを打ち落とすことに夢中になりすぎて、息をするのも忘れてしまうときもあった。まるで忍者の修行のようだ。
今は特に、外出が制限されているおかげで、プレイする頻度がますます高くなっている。
Supernaturalは「Oculus Quest」用のVRアプリで、月額19ドル(約2000円)だが、30日間は無料で試用できる。ただし、これは椅子に座って、上半身をゆるく動かすだけのVRではない。人気の楽曲に合わせて振り付けどおりに動き、ゲームのようにタスクをこなしていく、かなり体力を使うワークアウトだ。そこに、熟練のフィットネストレーナーの声が重なり、励ましてくれたり指導したりしてくれる。息をのむように美しいBBCの自然ドキュメンタリーを見ながら跳ね回るエクササイズのようだとも言える。ワークアウトは、360度撮影された地球上の美しい風景が舞台になっているからだ。
開発者によると、サーフィンやロッククライミングといったアクティビティーの心地よい疲れを再現したかったのだという。といっても、アプリでそういう動きをまねるわけではなく、飽きずに身体を使うアクティビティーの感覚を再現することを目指している。なにしろ、最高のワークアウトは、実際に身体を動かすことだからだ。
「サーフィンやスノーボードで、スクワットのように身体を動かしているとき、『このスクワット、早く終わってほしい』とは誰も思わない」と、Aaron Koblin氏はインタビューで語っている。同氏は、Supernaturalを開発した、VRを扱うスタートアップ企業、Withinの共同創業者だ。WithinがSupernaturalの開発を始めたのは、自分たちの必要性に合ったフィットネスプログラムを作るためだったという。Koblin氏もほかの社員も、だんだん「スタートアップにありがちな体形」になり始めたからだ。同氏のチームは、アウトドアアクティビティーの楽しい運動を再現しつつ、エクササイズが続かなくなってしまう要因を取り除こうとした。
「踊るというのは本能にも近く、身体を動かすのは楽しい。ただ、私のように人前が苦手な人間にとっては、部屋を暗くして、誰も見ていないところでやるというのがミソだ。そうすることで、自由に動ける」(Koblin氏)
Supernaturalでは、コントローラーを手に持ち、音楽のリズムに合わせて腕を振って、飛んでくるターゲットをたたき落とす。障害物にぶつからないように、全身も動かす。もっと大きく、もっと強く腕を振ったり、前後に踏み出してかがんで、また立ち上がったりすることが求められる。
Supernaturalは、サブスクリプションベースで、全身を動かすワークアウトのサービスを仮想現実に持ち込んだ、初めての試みだ。
まずはワークアウトを選ぶ。1プログラムの時間は、約12分から30分まで。フィットネストレーナー、ゲームでの呼び方で言うと「コーチ」が登場し、そのプログラムではどんなことに集中すればいいか、心構えを手短に説明する。そのままコーチの音声に従って人気の音楽の中から楽曲を選ぶ。コーチは、励ましの声をかけ、困難な道のりをどう乗り切るか指導してくれるうえに、呼吸を忘れずにというアドバイスもしてくれる。
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