新規事業を設計したとき、しっかり社内の規制緩和について盛り込む必要がある。これを避けて通ると、のちのち自分の首を絞めることになる。必要な規制緩和について、本間氏は以下のように説明した。
既存の組織から新規事業へ配属させるにはトップダウンが必要。イノベーションプログラム参画期間中は専任化が重要で、これをやらないと、本業の方に時間が取られてしまい、物事が進まなくなる。また、失敗したときでも人事評価がマイナスにならないような配慮が必要。
実際に実証実験を始めようとしたときに、始められるのが、次の予算を申請して半年後、1年後というのはありえない。ファンドをしっかり用意しておくことが重要。
NDAを結ぶのに1ヶ月以上かかるような企業がある。ベンチャー企業とやり取りする場合は、それでは成り立たない。法務面での規制緩和も必要だ。
既存事業と同じ品質保証レベルにするのではなく、お客様からクレームが入ってもある程度目をつぶるぐらい許容する必要がある。企業によってはセカンドレーベルを作って、品質保証の基準を落として行っている。
ベンチャーとコラボレーションする際も注意が必要だ。「自身で重点領域を定めず、単に新しいことをやっている企業を探す目的でベンチャーを訪問すると、非常に嫌がられる。日本人にありがちなのが、とりあえず話を聞きに来て、勝手に勉強して、その後の連絡はしないこと。これが世界中で行われている。そのため、シリコンバレーなどでは、日本人コミュニティが敬遠されているという話もある」と語る本間氏。
探索エリアは、エレクトロニクスだと深セン、サイバーセキュリティではイスラエル、事業化の面ではシリコンバレーと地域によってイノベーションの特性は異なるので、自分たちの目的に照らし合わせる必要がある。
新規事業のアイデアを生み出すには、当たり前のことを当たり前にやっていくことが重要。メガトレンドや顧客ニーズの変化を捉え、それに技術の進化を掛け合わせて、アイデアのロングリストを考えていく。
ワークショップをやりながら、どんどん発散と収束を繰り返す。そのあと、出したロングリストを技術進化、社会変化の確実性、事業性、自社のアセットの活用余地、CSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)に見合うものなのかを評価していく。
このとき本間氏は「0と1で評価するのではなく、例えば、コア事業としてやっていく、コア事業だが自社のアセットがないので他社と提携する、この事業では儲からないが、自社のほかの事業を補完できる、などが判断基準になる。あとは意義検討領域と言って、うまくいくかどうかわからないが、とにかくやってみたいというアイデアは、幹部の意志としてやればいい。たとえば本田技研工業の『ホンダジェット』は意義検討領域だったそうだ」と語った。
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