未来の自動運転車とのやりとりは、まるでAppleの「iOS」の未来版といった趣の、音声、ジェスチャー、タッチ操作によるコマンドを駆使したものになるかもしれない。
Appleが2019年8月に提出し、米国時間1月23日に公開された、自動運転車の音声やジェスチャーによるガイダンスシステムの特許出願書類に目を通した全体的な印象は、そのようなものだ。
最高経営責任者(CEO)のTim Cook氏は2017年、憶測されていたとおり、Appleが自動運転車そのものでなく自動運転システムに取り組んでいることを明らかにした。
特許出願書類に記されているシステムは主に、自動運転車に行き先を指示し、情報を入力する手段を乗員にもたらすものであり、説明されているシステムの多くの部分は、現在すでにおなじみのコマンドに驚くほどよく似ている。
ひとつは音声コマンドだ。出願書類によると、車に指示を出す権限のあるユーザーが「コーヒーが飲みたい」などとシンプルに言えば、自動運転車が最寄りのカフェや最も評価が高いカフェを判断し、連れていってくれるかもしれない。もっと具体的に指定したい場合も、「メインストリートにあるお気に入りのコーヒーショップに行こう」と言えばいいだけだ。
音声コマンドの違いで行き先も変わるが、自動運転車の自由な判断にどの程度任せるかは、最終的にユーザーがコントロールする。
出願書類には、ジャスチャー制御の優れたコンセプトも記述されており、これにはスマートフォンを利用する場合もある。例えば「そこに駐車して」と言い、建物の正面玄関に近い場所をスマートフォンで示す。するとコンピューターが状況を分析し、場合によってはユーザーの指定する「そこ」が近くのほかの場所ではないことを確認する。指示を十分に正確に実行させるためには、かなりの微調整が必要になりそうだ。
自動運転車の内部には巨大なタッチスクリーンが設置されるが、筆者の想像では、非常にAppleらしいユーザーインターフェースとなるだろう。出願書類では、基本的なタッチインターフェースと予測機能で車両に行き先を伝える方法も説明されている。スクリーンには、行き先を入力する領域と、駐車場所を指定する別の領域がある。その際には、近くの場所も、履歴に基づく場所も選択できる。夜の街へ繰り出す際、よく駐車場の決まったエリアに駐車するような感覚だ。Appleはそのほか、必要に応じて自動運転車を手動操作し、駐車場所に誘導するデジタルジョイスティックにも言及している。
ただし、このような特許出願書類の内容がそのまま実現する保証はない。特許などの出願書類は、開発されているという具体的な証拠ではなく、企業が検討している可能性があるものを示すにすぎない。現時点で確実にわかることがあるとすれば、Appleが自動運転車のためのソフトウェアに関心をもっているということだけだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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