「チャレンジを増やして、世の中を面白くしたい」 --スペースマーケット重松氏が語る上場への思い

 「所有から共有へ」――シェアリングエコノミーを場所の時間貸しというサービスで推進するスペースマーケットが12月20日、東京証券取引所マザーズ市場に新規上場した。設立からの6年間で、ニーズはどう変わり、市場はどう構築されてきたのか。スペースマーケット 代表取締役の重松大輔氏に上場までの道のりと、「入り口に立つ感じ」と表現する現在とこれからの取り組みについて聞いた。

スペースマーケット 代表取締役の重松大輔氏
スペースマーケット 代表取締役の重松大輔氏

上場は目的地に早く到達しステップアップするための手段

——このタイミングで上場することになった目的や狙いについて教えてください。

 スペースマーケットは創業6年になります。創業当時は、シェアリングエコノミーという言葉すらあやふやでしたが、UberやAirbnbが急激に伸びるなど、2014年後半頃からプラットフォームビジネスが身近になってきて、スペースシェアリングの市場もおかげさまですごく盛り上がり、我々を取り巻く環境も温まってきました。

 ですので、よいタイミングで上場できたのかなと思います。上場の目的は、創業初期から考えていたことですが、ホストとゲストをつなぐプラットフォームとしての信用を担保することです。

——狙いや目的と重複する部分もあるかと思いますが、上場のメリットは、信用の担保以外にどんなことがありますか?

 資金調達手段が多様化や、競争が激化している高度なエンジニアリング人材の獲得など、上場にはメリットがたくさんあると考えています。

 また、我々のビジネスはホストとゲストの両方が当然大事なのですが、順序で行くと良質なホストに良質な物件をよりたくさんご提供いただくことが非常に大事です。ちょうど1年前にテレビCMを放映したときゲストの方にすごく喜ばれたように、今回の上場もホストの方に信頼していただき、より多くの物件を提供いただくことにつながれば、と考えています。

 もちろん、上場することでゲストの方がより安心してスペースを借りられるようになることも、メリットの1つです。

——逆に、デメリットがあれば教えてください。

 上場してネガティブなことはないかな、と正直思っています。当然、競合に我々のことが丸裸になるという点はありますが、これは上場にはつきもの。スペースシェアという狭いジャンルではありますが、圧倒的ナンバーワンだという自負はあるので、そこは覚悟を持ってやって行きます。

——ランサーズやfreeeなど、2010年代のITマーケットを盛り上げて来た5社が、ちょうど2020年を迎える前にそろって上場。我々もたくさん取材させていただいた会社さんなので、感慨深いのですが、いかが思われていますか?

 そうですよね、感慨深いですよね。Makuakeの中山(マクアケ 代表取締役社長の中山亮太郎氏)さんとか、新卒の頃からずっと知っていたりして、お互いに起業する前から色々話していましたし。freeeの佐々木(freee CEOの佐々木大輔氏)さん、ランサーズの秋好(ランサーズ 代表取締役社長CEOの秋好陽介氏)さんも、立ち上げ当初から細かい相談をしたり、お互いのプレゼンを見たり、ロードショー回りながら「そっち、どう?」みたいなコミュニケーションも結構していたので……。すごく感慨深いですし、2020年以降は、さらに面白い感じになってくると思いますね。

——ちなみに、スタートアップがIPOすると「ゴールした」みたいに言われることがあると思うのですが、そのあたりはどう感じていらっしゃいますか?

 上場をゴールだと思ってやっている経営者って……、いるんですかね(笑)?個人的には、上場は「入り口に立つ」感じだと思っています。上場後も4割の株式は僕が保有しますし、事業をもっと伸ばしたい。実際、成長率も維持しているので、まだまだポテンシャルのあるビジネス、産業だと思っています。上場は、資本市場のレバレッジを効かせて、目的地に早く到達しステップアップするための手段ではないでしょうか。

 いわゆる「伸びがてっぺん」というフェーズで上場した場合には、社長やベンチャーキャピタルの売り出し率が高くなるため「ゴール」だと言われるケースも多いようですが、機関投資家に入れ替わったりして、結果として産業が大きくなればいいと思うし、一概に悪いわけではないのかなと思いますね。

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