「.org」インターネットドメインの使用権を非営利団体に販売する事業の対価として、Ethos Capitalが提示した金額は11億3000万ドル(約1200億円)だという。Internet Societyが、この額で事業を譲渡することに合意したと明らかにしたとされている。この売却をめぐっては、ウェブの生みの親であるTim Berners-Lee氏をはじめ、複数から懸念の声が上がっている。
Internet Societyは27年前に設立され、プライバシーやセキュリティの改善など、オンライン環境の向上を推進する非営利団体だ。Internet Societyの下部組織Public Interest Registry(PIR)は「.org」ドメイン名の使用権を販売しているが、11月に入り、Ethos CapitalがPIRを買収することで合意していた。
売却手続は2020年の第1四半期までに完了する予定だ。この売却が明らかになると、私企業の投資会社であるEthos Capitalは、Internet Societyほど公益性を重視しない可能性があるとの懸念の声が上がった。Berners-Lee氏はこの売却は「本来の意図をねじ曲げるもの」になりかねないと憂慮した。電子フロンティア財団(EFF)が企画した売却中止を求める嘆願書は、原文記事の執筆時点で1万2500名超の署名を集めている。
Internet Societyは、Ethos Capitalへの売却に関して、人々が懸念していることを認識していると述べた。Internet Societyの広報担当者James Wood氏は米国時間12月3日、「われわれは、.orgのコミュニティに対して今回の売却が意味することについて、明確に十分に伝えるべきだったができていなかった」とし、「売却の結果として、.orgの運用の仕方が変わることはない」と述べた。また、Ethos Capitalは、.orgをインターネットで「より信頼できる有益なホームとなるように」するとともに、Internet Societyではなしえなかった手段で運用していくだろうとした。
Ethos Capitalは11月、「『.org』コミュニティーの役に立つ、新たなサービスや支援体制を整えることに熱意を持っている」と述べていた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」