--MacとiPadを統合する未来はないのでしょうか。
ありません。そんなことをすれば、どっちつかずな製品になりますし、どっちつかずな製品がオリジナル製品と同程度に良いものになることは、あり得ません。われわれは、最高のパーソナルコンピュータはMacだと信じており、その道を進みたいと考えています。そして、最高のタブレットはiPadだと考えており、その道を進みたいと考えています。
iPadの長所はすべての操作をタッチでこなせることだとわれわれは考えており、この体験を犠牲にする必要はありません。Macの長所は、すべての操作をキーボードとマウスで行えることです。この長所を犠牲にする必要もありません。世間には、この両者の中間を目指した製品があります。そういう製品は結局、妥協の産物になります。良くないことです。
--Macにタッチスクリーンを追加するのはいかがでしょう。あなたにとって、それも妥協になるのでしょうか。
エンジニアリングの努力は、Macのキーボードとトラックパッドによる最高な体験のために費やすべきです。顧客はそれを望んでいます。
--Macの熱烈なファン層と、彼らがAppleの神秘性と評判にとってどう重要かについて話していただけますか。
私はそのような(「熱烈なファン層」という)言葉は使いません。この言葉は、われわれの顧客をやや狂信的だと否定的に表現するときに使われるからです。実際に彼らに会ってみれば、そうでないことが分かります。Macを愛してくれるすばらしい顧客がいるだけです。
大学生のほとんどはMacを使っています。ライター、動画編集者、音楽製作者、プログラマーなどのクリエイティブな層でもMacが非常に強いと思います。われわれは創造性とコンピューティング技術の交わるところを愛しています。それは常に、われわれがAppleを愛するコアであり続けています。
それは宗教でも、熱狂的支持でもありません。コンピュータを使う極めて創造的で生産的な人々にとって適した製品というだけです。
--創造性について話しましょう。多数のクリエイターがMicrosoftの「Windows」に移行しました。プラットフォームを切り替えるよう彼らを説得する方法を模索していますか。
WindowsとMacは常に競合しています。今に始まったことではありません。これまでの傾向では、われわれは実際にはシェアを伸ばす側です。特に、iPhoneのようなモバイル技術がわれわれの生活に占める割合が増えていけば、その傾向は強まるでしょう。インターネット技術とSaaS(サービスとしてのソフトウェア)が、プラットフォームに公平な競争条件をもたらします。
テクノロジーのトレンドは、Appleに最も利益をもたらしています。Windows PCの世界は均一な世界です。汎用ハードウェアと汎用OSは多くのもので無難に機能する必要があるので、どこでも最高には機能しません。
われわれには、ハードウェアとソフトウェアをシームレスに設計し、ユーザーが望むように機能させるという強い責任があります。そうすれば最終的に、顧客は使いやすさを体験できます。それが、われわれがMacでやろうとしていることです。
それが、汎用的なPCの世界に対するわれわれの強みの1つです。PCの世界では、Macのようにすべてがシームレスに機能するわけではありません。
--あなたはプライバシーを重視すると公言していますね。ユーザー調査で何が分かりましたか。また、プライバシーを優先させるべきなのはどこだと思いますか。
プライバシーとセキュリティは、ユーザーにとっての重要性が高まっています。
ほんの数年前まで、プラバシーを懸念したり話題にしたりする人はほとんどいませんでした。少なくとも、購入する製品や使うプラットフォームの選択にプライバシーが影響することはありませんでした。状況は大きく変わっています。この問題の報道価値が上がり、日々報告されるセキュリティ問題が増えています。
われわれは皆、この問題についての懸念を強めています。われわれは顧客に対し、正しいことをしていると感じています。プライバシーとセキュリティを重視し、それを製品購入時の判断材料にする人が増えており、それは良いことですが、われわれはそのためにプライバシーを重視しているわけではありません。それがやるべき正しいことだと思うからやっているのです。
--あなたは、MacBookは大学生に人気があると言いました。しかし、教育市場では「Chromebook」が伸びています。それについてどう思いますか。
K-12(幼稚園年長から高校まで) 市場、特に幼稚園から9学年までの低学年では、iPadは好調です。iPadは子どもの学習に最適なツールだと思います。
管理性とツールを備えた経営サイドから学校での学習体験を支援することまで、成長するために多くを投資し続けています。幼い子どもたちにソフトウェアを理解させ、子どもが開発者になる機会を作るアプリ「Swift Playgrounds」を使う「Everyone Can Code」カリキュラムから、拡張現実にいたるまでです。
われわれは何年も前に、教育についての研究を行いました。教室でのテクノロジーの重要性と役割や、テクノロジーが教育プロセスにどのように役立つのかについての研究です。この教育についての研究の結果は実にシンプルで、成功するのは最も熱心な学生でした。
学習に夢中になり、学びたがる子どもはより成功します。子どもたちに刺激を与えるようなテクノロジーを適用しなければ、授業に身が入らないことは、簡単に分かるでしょう。子どもたちが本当に最高の結果を達成するには、最先端の学習ツールが必要です。
しかし、Chromebookはそうではありません。Chromebookが教室に受け入れられたのは、率直に言って、必須のテストのための安いテストツールだからです。子どもをテストするだけなら安いノートPCで十分でしょう。しかし、それでは子どもたちは成功しません。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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