米航空宇宙局(NASA)が計画するドローンの未来が実現すれば、この先10年もたたないうちに、米国の都市の上空を、人や荷物を運ぶ無人の電気航空機が盛んに飛び交うようになるかもしれない。NASAのJim Bridenstine長官は米国時間10月29日、ラスベガスで開催された「Commercial UAV Expo」の講演でこの構想を語った。それでも簡単ではないことを自覚している。
Bridenstine長官は、「われわれの動きは速い」とし、「2028年までに、少なくとも1つの都市、もしかすると複数の都市で、数百機の規模の無人航空システムを制御できるようにしたい。そうしたシステムは、貨物や乗客の輸送など、1日当たり数千件規模のミッションを遂行する可能性がある」と話した。
この構想を実現するため、NASAは「グランドチャレンジ」インセンティブプログラムを利用し、技術の成熟を促そうとしている。Bridenstine長官はこのアプローチを、2004年の米国政府によるロボット車両のグランドチャレンジになぞらえた。このプログラムは、Waymo、Cruise、Uberといった企業が手がける現在の自律運転車の取り組みにつながった。NASAは現在、2022年の都市航空交通(UAM)のグランドチャレンジの取り組みを進めており、より壮大な未来の構想への足がかりにしようとしている。
ドローンは、映像の撮影、石油精製所の監視、軍事情報の収集、捜索活動や救出活動の支援などで活用されつつある。ドローンが日常の輸送手段となる段階へと進むには、技術の変革だけでなく、安全や規制、社会の受け入れ態勢の面でも大きな変化が必要になる。それでも、Donald Trump政権がこのような変化が起こることを静観するのではなく、奨励していきたい考えであることは明らかだ。
ドローン技術には多数の企業が取り組んでいる。Amazonの「Prime Air」では新しい配送用ドローンを開発しており、United Parcel Service of America(UPS)にはドローンで医薬品などを病院や家庭に宅配するサービスを計画している。乗客の輸送では、AirbusやBellなどの航空大手のほか、Uberの「Uber Elevate」、Larry Page氏が出資するKitty Hawk、NFTといったスタートアップの事業が参入している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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