中国政府が、国境を超えて同国に入国する外国人のスマートフォンに、マルウェアを強制的にダウンロードしているという。共同で調査を実施したThe New York Times、Guardian、Motherboard、Suddeutsche Zeitung、ドイツの放送局であるNDRによると、そのマルウェアはユーザーのテキストメッセージ、通話履歴、カレンダーの項目をダウンロードし、約7万3000のリストに該当するファイルがないかスキャンするという。
華為技術(ファーウェイ)は中国政府と緊密な関係にあるとして、米国では国家安全保障上の懸念を理由にファーウェイを排除する動きが進行している。ファーウェイは繰り返しそれを否定している。一方、中国では、西欧諸国のソーシャルメディアとWikipediaに加えて米国のニュースサイトも、国民がアクセスできないようにブロックされていると報じられている。
米国時間7月2日の報道によると、国境を超えて中国の新疆地区に入る旅行者に対し、国境警備員がスマートフォンを押収して、「BXAQ」または「Fengcai」という「Android」マルウェアをインストールするという。「iPhone」も調べられたとの情報もある。記事は、複数の専門家によるこのソフトウェアの解析結果を引用して、このマルウェアはイスラム関連のコンテンツがないかを検索すると報じている。
このマルウェアは、コーランの一節、ダライ・ラマに関するPDFファイル、日本のメタルバンドUnholy Graveの楽曲も検索していたと、記事には記されている。
スマートフォンにこのマルウェアをインストールされたある旅行者が、この端末をSuddeutsche ZeitungとMotherboardに提供したことを受け、Suddeutsche Zeitungの記者が実際に国境を超えてマルウェアのインストールを自ら体験したという。
Motherboardは、「新疆地区の住民、特にテュルク系イスラム教徒が、多方面から四六時中監視されているのは既に知られている」という、Human Rights Watchの中国シニア研究者であるMaya Wang氏の発言を紹介している。「(このマルウェアは)外国人であってもこの大掛かりで非合法的な監視下に置かれることを示している」(同氏)
Human Rights Watchにコメントを求めたが、直ちに回答は得られなかった。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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