Armは台湾で現地時間5月27日、5G時代におけるオンデバイスのニーズに対応した新しいモバイルデバイス向けのプロセッサIP(半導体設計資産)スイートを発表した。その1つが「Arm Cortex-A77 CPU」で、前世代の「Arm Cortex-A76 CPU」デバイスからパフォーマンスが20%向上した。もう1つの「Arm Mali-G77 GPU」は、モバイルデバイス上でハイエンドのグラフィックスを実現できるように設計されている。
Cortex-A77は、次世代のスマートフォンやノートパソコン向けに開発されたCPUで、仮想現実(VR)や高度な機械学習(ML)といったユースケースをサポートする。モバイルデバイスにおいては、CPUがすでに事実上の標準的なMLプロセッサーとなっており、同社の推算によると、専用のニューラルプロセッシングユニット(NPU)を搭載するスマートフォンは15%しかないという。何らかのアクセラレーターを備えているデバイスでは、まずCPU上でMLのワークロードが実行される。
Cortex-A77では、IPC(Instructions Per Clock:クロックあたりの実行命令数)もCortex-A76より20%向上している。Armによると、ハードウェアとソフトウェアをともに最適化したことで、過去2世代の「Cortex-A7x」シリーズプロセッサー(Cortex-A76とCortex-A77)を比較すると、全体的なMLパフォーマンスが35倍向上したという。
一方、Mali-G77は新しい「Valhall」アーキテクチャーを採用し、パフォーマンスがMali-G76より40%近く上昇した。エンジン、テクスチャパイプライン、ロードストアキャッシュといったマイクロアーキテクチャーの強化により、エネルギー効率とエリアサイズ(ダイ全体のうち,CPUコアが占める面積)あたりの性能がともに30%向上した。また、MLパフォーマンスも60%向上している。
さらにArmは、ヘテロジニアスな環境に対応したML演算プラットフォーム「Project Trillium」を構成するMLプロセッサーを改善したと発表した。このMLプロセッサーは、エネルギー効率でこれまでの2倍以上となる最大5TOPs/W(1Wあたり毎秒5兆回の演算)を達成したほか、メモリ圧縮技術でも最大3倍の向上を実現した。Project TrilliumはMLプロセッサーと同社のオープンソースソフトウェアフレームワーク「Arm NN」で構成されており、すでにで2億5000万台以上の「Android」デバイスに搭載されている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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