配車サービスを展開するLyftの共同創業者のLogan Green氏とJohn Zimmer氏が米国時間3月29日に、上場を記念してナスダック証券取引所で取引開始の鐘を鳴らしたときは、すべてがうまくいっているように見えた。株価は8.7%上昇し、同日の終値は78.29ドルだった。株主らも大喜びだった。
その後は転落の一途をたどっている。株価は低迷し、事業の強みについて欺かれたとして、株主らによる訴訟が起きている。
Lyftは5月7日、追い打ちをかけるかのように、第1四半期(3月31日締め)の業績について悪い知らせを発表した。調整後の1株当たり損失が9.02ドルという予測を上回る損失を計上したのだ。米Yahooが集計したアナリスト予測の1.81ドルの損失をはるかに上回ったが、Lyftが1年前に報告した11.40ドルの損失よりは少なかった。
Lyftの共同創業者らは7日の取引終了後の決算発表で、2019年は同社にとって「損失の最も大きい年度」になり、この後は利益を創出する方向に転じると繰り返し述べた。「素晴らしい第1四半期だった」とし、Lyftの「世界レベルの成長」を示す「この勢いを誇り」に思うとも述べた。
共同創業者で最高経営責任者(CEO)のLogan Green氏は「第1四半期は、株式公開後の最初の年度という重要な年の心強いスタートとなった」と7日の声明で述べている。
Lyftの同四半期の総売上高は7億7600万ドルで、アナリスト予測の7億3948万ドルを上回った。Lyftによると、アクティブライダー数は、1年前の1400万人から現在は2050万人に増加したという。ただし同社は、同社がユーザーに提供している配車料金割引が売上高とアクティブライダー数に影響を与えたかどうかを明らかにしていない。
6月末までの現四半期について、Lyftは売上高を8億から8億1000万ドルと、アナリスト平均予測の7億8232万ドルよりも高く予測している。
Lyftの共同創業者らは決算発表で、レンタル自転車およびスクーターや、自動運転車の取り組みなど、成長の余地がある同社の複数のサービスを挙げた。同社は7日、Googleの親会社であるAlphabet傘下の自動運転車企業Waymoとの提携を発表した。Waymoは、2019年第3四半期末までに米アリゾナ州フェニックスにおいて10台の自動運転車を配備し、Lyftの乗客が利用できるようにする。Lyftのアプリを利用している乗客は、条件を満たす移動の際に、Waymoの自動運転車をオプションで選択できる。
市場データ調査会社PitchBookの新興技術アナリストAsad Hussain氏は、「Lyftが自動運転技術を利用できるようになることは、長期的な利益率の拡大や株主向けの価値創出の鍵になるだろう」と述べる。「UberのIPOを前にして、これらの結果は業界の好印象を与えるかもしれないが、これらの株式の注目度が高く、ビジネスモデルが比較的未成熟なため、市場が短期的に不安定になっても驚くことはない」(Hussain氏)
Uberがまもなく新規株式公開(IPO)を実施し、それによって配車業界の投資家らにもう1つの選択肢が与えられることが、Lyftの株価実績が精彩を欠く理由の1つとされている。株主らによって2件の訴訟を起こされていることは、Lyftの社会的イメージにも打撃を与えている。また、おそらく最も重要な点として、2019年が本当にLyftにとって「損失の最も大きい年度」になるのか、という厳しい現実がある。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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