「ラブライブ!サンシャイン!!」Aqours 1stライブで見た“想いがひとつになった日” - (page 2)

 幕間では、デフォルメ姿のAqoursメンバーが、沼津から横浜アリーナでのライブをするまでのドタバタ道中記を描いたエピソードが披露され、笑いを誘う一幕も。ほかにも、TVアニメのダイジェストも上映。それを受けてステージでもTVアニメで流れた挿入歌を再現するようなシーンも設けられていた。特に印象的だったのは、終盤の「MIRAI TICKET」の導入部分。TVアニメ第13話でAqoursがラブライブ!地方予選のステージで披露した、自分たちを紹介する寸劇を、会場中央のセンターステージで再現したシーンだ。

  • ファンに近い位置のセンターステージによるパフォーマンスも

 千歌がμ’sに憧れスクールアイドルを結成したこと。メンバーとの出会いと、それぞれが輝きたいと思っていたこと。東京のイベントに出たものの、最下位で応援してくれる人が誰もいない“0”という現実を突きつけられたこと。その結果に千歌が本気で悔しがり、“0から1にする”ことを目標としたこと。そのために自分らしく、自分たちの道を歩むと決めたこと。円陣を組み1から9までのかけ声のあとに、客席から会場中に響き渡る「10」の声。そして「0から1へ」のかけ声とともに、それを示す指のポーズ。

「ラブライブ!サンシャイン!! Aqours First LoveLive! ~Step! ZERO to ONE~」
「MIRAI TICKET」導入部分での円陣を組むシーン

 TVアニメにおけるAqoursの流れを振り返るように説明したこのシーンは、放映時にも印象的な場面ではあったが、リアルな場で見ると言葉のひとつひとつが心に響いてくるほど重みが感じられたのと同時に、客席を巻き込んだ演出であったり終盤ということもあってか、メンバーとキャストがシンクロし、その場で語っているという感覚をより強く持てたシーンでもあった。そこからTVアニメ第13話の最後の言葉であり、Aqoursの始まりの曲である「君のこころは輝いてるかい?」に続く流れは、TVアニメでは描かれなかった続きを見ているような気分にもなれた次第だ。

メンバーとファンとの絆を感じた「想いよひとつになれ」

 筆者はこれまでのAqoursとしてのイベントを見たことがないため、そこからどう変わったのかはわからないものの、初めて見たステージはシンプルに「すごい」と感じられるものであったと同時に、キャスト陣の並々ならぬAqoursや個々のメンバーに対する愛着を感じさせた。トークパートで語られる言葉の端々からも伺わせたが、とにかくAqoursを輝かせたいという強い気持ちが伝わるライブとなっていた。

 最後のあいさつのなかで、伊波さんが「この9人でないとだめだし、みなさんがそばにいてくれないとだめだし、ひとりも欠けないほしい」と語っていたように、メンバーとの絆、ファンとの絆も強く結びついていることも、このライブでは感じられた。それを象徴するシーンが、思わぬハプニングに見舞われた中盤の「想いよひとつになれ」だ。

 この曲はTVアニメのなかで、東京でひとりピアノコンクールに挑む梨子と、同じ日に行われるラブライブ!予備予選に挑む8人というシチュエーションで流れた挿入歌。ライブでは逢田さん自らピアノを弾き、8人がそれにあわせて歌唱するという形となっていた。冒頭や終わりのピアノソロが特徴的な楽曲で、8人がピアノの音に合わせて順番に打鍵するような振り付けで進んでいくはずだったが、逢田さんの緊張からかピアノの音が乱れたあと合わせるはずの音が流れてこなかったのだ。いったん仕切り直しをして、逢田さんが最後まで弾ききって楽曲が無事に披露できたという出来事があった。

 伊波さんがのちに、何がおこるのかわからないのがライブと明るく笑い飛ばすかのように語ったり、メンバーが逢田さんのもとへ駆け寄り励ますなかでも、真っ先に駆け付けた伊波さんの姿は、梨子と千歌の関係を思わせるもの。また、もともと梨子はピアノに対してスランプを抱えていたなか、千歌たちとの出会いやスクールアイドルの活動を通して自信を取り戻していく姿がTVアニメで描かれており、仕切り直し後に演奏している姿は、躓きを乗り越えていく流れを思い起こさせるものでもあった。

 そして中断時には自然と沸き上がった梨香子コールや、それ以降一面に広がった、梨子のイメージカラーであるサクラピンクの海。一層気合が入ったようにも感じられる8人のパフォーマンスや、逢田さんを応援するかのように振り向いて指をさす振り付け。スクリーン上に映し出され、誰もがわかるほどに指を震わせながら最後の一音を打鍵する逢田さんの姿と、無事に弾き終わったあとのこの日一番と思える歓声。そしてそれを上回るほどの大きな拍手。

 起きたハプニングそのものは課題を残したという形になってしまうかもしれないが、こういった光景やその後のファンの反応を見るに、会場やライブビューイングで見ていた人にとっては忘れられない1曲になったと思える出来事であり、一夜にして特別なものと感じられる曲になるというところに、ライブの面白さと重みを感じたところだ。

 また、逢田さんが声援を送ってくれたことへの感謝とともに、メンバーに支えられていることを語ると、ほかのメンバーが間髪入れずに「当たり前でしょ」と言い合っているところも印象的だったことは付記しておきたい。

「ラブライブ!サンシャイン!! Aqours First LoveLive! ~Step! ZERO to ONE~」
アンコールを歌いきってのあいさつ

 Aqoursの今後についても発表され、「Aqours Next Step! Project」と称して展開を広げていく。このプロジェクトとしてのテーマソング制作決定をはじめ、ユニットCDシリーズ第2弾やデュオトリオコレクションCDを発売。また8月から9月にかけて、名古屋・日本ガイシホール、神戸・ワールド記念ホール、埼玉・メットライフドーム(旧西武プリンスドーム)の3都市6公演で行われる2ndライブツアーの開催も告知。ツアーというだけではなく、早くもドームライブが実現するあたりに勢いを感じさせる発表となっていた。そして、待望のTVアニメ2期も2017年秋に放送予定としている。

 0から1を目標にしていたAqoursが、セカンドライブツアーやTVアニメ2期などの“2”においてどんな話題を振りまいていくのか興味は尽きないと、そのように思えるライブとなっていた。

「ラブライブ!サンシャイン!! Aqours First LoveLive! ~Step! ZERO to ONE~」
横浜アリーナを埋め尽くしたファンも、Aqoursのパフォーマンスに酔いしれていた

(C) 2016 プロジェクトラブライブ!サンシャイン!!

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