Spectaclesが商品としてどこまで成功するかは現時点ではわからない。またSpectaclesはいまのところ映像・画像データの入力口でしかないのに対し、Appleが想定しているのは情報の入出力(とくに出力)に重点を置いたものといった違いもある。ただ、この製品を使ってメッセージをやりとりしそうなユーザーがすでに1億人以上いるというのも事実であり、同時にこの端末を通じてキャプチャされたデータに追加情報を付加するためのAR技術がSnapにあるという点も見逃せない。
(World Lensesというフィルタを使った動画がみられるツイート)Snapchat's new World Lenses are... interesting pic.twitter.com/oFMqqESIKr
— Mike Murphy (@mcwm) 2016年11月8日
15日には、Googleのクラウドサービスに関する取り組みで、Cloud Machine Learningグループという新設部門の責任者として、Snapの研究部門で責任者をしていたJia Liという女性研究者が引き抜かれたというニュースも流れていた。
このLiと、トヨタの米AI研究部門(Toyota Research Institute)のアドバイザーなども務めるFei-Fei Li(いずれもコンピュータビジョンなどAIに関する分野が専門)の2人で新設部門を取り仕切ることになったという点も興味を引くが、いずれにせよSnapではすでにLiのような人材を使って、AR/AI分野に関してある程度の情報を手にしている、あるいは具体的な研究・開発を進めているとの可能性も考えられる。
Spectaclesのような端末をつくること自体は比較的簡単かもしれない。商売として「これはイケる」とわかれば、それこそ中国の深センに集中する数多のメーカーなどがいっせいに似たものを出してきそうにも思える(ホバーボードの時と同じように)。それに対して、背後に控えるサービスを利用する1億人を超えるユーザーの存在、あるいは膨大な量のデータを処理するための技術の蓄積などはそう簡単には真似できないのではないか。そうしたことも考え合わせると、体力ではるかに勝るFacebookが真剣にキャッチアップを図ろうとしたり、あるいはAppleが警戒感を抱くというのもさほど意外なことではないかもしれない。
IPOを通じてまとまった軍資金を手にするとみられるSnapが果たしてどんな手を打ってくるか。あるいは、先々どちらの方向に事業を拡大していくのか。これから2017年前半にかけて大きな注目の集まる話題のひとつになりそうな気がする。
【参照情報】
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
OMO戦略や小売DXの実現へ
顧客満足度を高めるデータ活用5つの打ち手
企業や自治体、教育機関で再び注目を集める
身近なメタバース活用を実現する
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス