--話は変わって、「ヤフー トレンドコースター」にも採用されたVRについてお聞きしたいのですが、今後はどのように活用したいと考えていますか。
富永氏:VRには長所と短所があると思っています。長所としては「没頭できる」ということ。上野の森美術館で開催した「進撃の巨人展」360度体感シアター“哮”(※1)は、アニメの世界に自分自身が入ってミッションを遂行していくのですが、ゲームの世界観に没頭することができます。
ただ、没頭するがゆえに1人だけの体験になってしまうこと、1人に対して深い体験ができる代わりに、イベントなどでは長時間待たされることになります。そこが短所でしょうか。この「ヤフー トレンドコースター」では、体験している内容を横に設置してある大画面で表示させることで、周りの人も一緒に体感できるようにしました。
VRはイベントものにしたときに1人ずつしか体験できないことが、メリット以上のデメリットにもなります。イベントというのは、体験人数をとるか、もしくはそれをやることでPRの拡散に繋げることが重要です。しかし、目新しさという点ではもう旬は過ぎてしまったので、何か単体ですごい装置を作ったとしても、僕はそれほど面白いとは思いません。
大事なのはコンテンツです。「オキュラスがすごい」「VRがすごい」ではなくて、「この体験であれば並びたい」「この体験であればお金を払いたい」という根拠の作りこみが必要だと思っています。Oculus Riftの製品版が2016年3月に、PSVRが2016年10月に発売されるといわれています。そのときにまた、状況が変わってくるのではないでしょうか。大事なのはコンテンツと体験です。
※1. 2014年11月28日~2015年1月25日まで上野の森美術館で開催された『進撃の巨人展』で話題になった360度体感シアター「哮」。Oculus Riftを被り、約5分間の360度アニメを視聴することができる。
(後編は4月5日に掲載)
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