シンガポールには、そのようなシンガポーリアンの購買意欲をさらに掻き立てる、Great Singapore Sale(GSS)という国を挙げてのショッピングイベントが、年に1度、5月末よりおよそ8週間にわたり開催されます。
この期間中はシンガポール全土において、高級ブランドを含むシンガポール内外のブランドにてセールが実施され、「最大70%オフ」という店舗も少なくありません。
GSSは、1994年にシンガポール政府観光局(STB)が観光客の集客を目的として企画したものです。当時、この企画の対象エリアはオーチャードがメインでしたが、今ではシンガポール全土にまで広がっています。飲食店やオンラインショッピングなどあらゆる分野が普及したため、シンガポールに住む人全てにとっての一大イベントとなっています。
近年、日本での中国人観光客の爆買いが話題となっています。当然、シンガポールのGSSでも中国人観光客がセール商品を爆買いしているのかと思いきや、BloombergBusinessの2014年の記事によると、ある中国人男性がシンガポールに来て、GSSで妻のために高級ブランドのハンドバッグを購入したところ、そのあとに香港で買った方が安いと気付いたという体験談があり、そういった印象は中国人の間で広まっているようです。
その背景には、近年のシンガポールドル高や、人件費や税金の高騰を要因とした著しい物価上昇があります。同記事によると、2014年8月時点で過去5カ月の間に中国からシンガポールへの観光客は27%も減少したとのことです。当然GSSの影響だけではなく、中国本土の経済成長が緩やかになってきたことや、中国での格安ショッピングツアーの規制強化の影響があるようですが、シンガポール自体の物価高の影響も大きいと考えられます。シンガポールは、GSSの内容や戦略を見直すべき時期に来ているようです。
前述のような事象もありますが、シンガポーリアンおよびシンガポール在住の外国人にとっては、普段の価格より安く購入できる、お得な期間ということに間違いはありません。特に、近年シンガポールでも若者を中心に、PCやモバイルを使ったオンラインショッピングが盛り上がり始めています。
GSSはオンラインショッピングでも適用されていることが多く、シンガポールでオンラインファッションショッピングサイトとして有名なZaloraや人気のオンラインショッピングサイトのQoo10、近年シンガポールに進出したRakutenなども、この時期GSSにまつわるセールを開催しているようです。
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