マーケティングオートメーションの導入--IT部門の役割とは - (page 2)

尾花 淳(2BC)2015年03月18日 07時00分

 マーケティングオートメーションシステムがその実力を真に発揮するためには社内システムとの連携が欠かせません。例えば、直近1年間に特定製品の販売履歴がなく、現在商談中でもない顧客が、当該製品の関連ウェブページを閲覧した際に、その製品に関連するメールを自動で送信するというコミュニケーションを実行するとした場合、販売実績データを販売管理システムから、商談データをSFAから連携する必要があります。

 これは一例にすぎませんが、目標となる施策を実現するためのデータの受け渡しは、自動であれ定期的に手動で取り込むのであれ必須であり、これを実現しなければマーケティングオートメーションの機能はフルに活かせないことになります。

 セキュリティの観点では、マーケティングオートメーションシステムの大半はSaaS型で提供されているので、自社で定めたセキュリティ基準に準拠するかの確認ということになります。もちろんベンダー各社もこの辺りは充分に認識をしているため問題になるケースは少ないですが、ここはIT部門がリードをするべき領域の1つと言えるでしょう。

 マーケティングオートメーションシステムそのものの選定とともに必要になるのが導入支援ベンダーの選定です。大手ITベンダーの製品であっても、“いつものシステムインテグレーター(SIer)”が対応できるとは限りません。ここがIT部門としては悩ましいところです。現時点で、マーケティングオートメーションのベンダー各社は、自社で導入支援も含めて提供している国内勢を除いて、その導入支援役となる企業とのアライアンスを積極的に進めています。

 アライアンスは、ITをビジネスとしている従来型のSIer企業群と、マーケティングをビジネスとしている企業群の2種類を対象に進められています。

 前者はマーケティングオートメーションをシステムの新領域としてとらえ、かつて、企業の各種業務がIT化するたびに対応領域を拡大してきたのと同様に、新しくチームを組織し外部の専門家の力を借りながら、ITの専門家としてこの領域でも対応できるように準備を進め、一部では実績が出はじめています。ただし、もともとマーケティングの専門家ではなく、現時点では経験が限られるので、マーケティング観点でのリード役にはなれないことが想定されます。

 後者は具体的にはデジタル広告を中心とした広告代理店やウェブ制作を中心としたマーケティングエージェンシーなどになります。マーケティングオートメーションをマーケティング施策実行のサポート役としてとらえ、これまではテクノロジやリソースの制約でできなかった施策を実行するためのツールとして自らのビジネスに取り込もうとしています。

 今マーケティングが急速にテクノロジ活用に舵を切っているとはいえ、エンタープライズ級のシステム導入に耐えうるだけの経験とリソースを持っているマーケティングエージェンシーは、ごく限られているというのが実情です。導入を支援するベンダー側もこのような実情を理解しているので、両者で協業することで必要な体制を組んでいるケースも多く見られます。


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