“愛でるスマホ”になるシャープのおしゃべり機能「emopa」--キャラ追加、他機種にも対応へ - (page 2)

開発者の狙いを超えた「ユーザーの愛着」

 「正直、ここまでユーザーの支持を集められたことに驚き」(通信システム事業本部マーケティングセンター新規ビジネス戦略推進部部長・小林繁氏)と開発担当者自身も語るエモパー。当初目指していたのは「ユーザーが受動的に接することができるスマホ」であり、ユーザーの能動的接触こそが本義であるスマホの活用方法に新たなアプローチを示したものだった。

 受動的な接触機会を設けることは「可処分時間の拡大」にもつながる。つまり、現状1日5~6時間といわれるスマホの接触時間の外側でユーザーに何らかの気付きを与え、その結果としてスマホ内外を含めたユーザーのアクションを誘発しようというものだ。

 受動的であるがゆえ、本来のスマホになくてはならない「正確さ」を必ずしも求められない点も特長だ。エモパーから発せられる情報は「今日は天気が良いので近所の公園に桜を見に行ってみては」という程度の、いわばゆるくてあいまいな情報。自ら検索して導き出された回答であれば明らかに不十分だが、勝手に提案してくる内容としては活かすも無視するも自在なレベルである。

 無論、こうした狙いのすべてが現状の評価とリンクしていないわけではないが、同社の調査結果を見る限り「話しかけてくれることによる愛着の増大」が突出しているようだ。開発側として特に意外だったのが「もっと話しかけてほしい」という要望だそうで、「あまり話しかけすぎるとウザがられるのでは」と危惧してシーンを控えめにした配慮がいい意味で裏切られた格好だ。

 各キャラにアイコンなどを登場させず、あくまでスマホそのものが意思をもっているような演出としている点も、ユーザーの愛着度喚起という点で一役買っている印象。「ユーザーの関心はアプリやネットワークの先にあって、スマホ自体は窓口のように捉えられがち。端末自体が持つ魅力を感じてほしかった」(同)との狙いがあってのことで、この設定があるからこそ、端末を落としたときに「痛いよ」と怒られるなどのギミックが効いている。


新キャラクター「桜田かおる」

 そうした意味で、今回のアップデートにおいて挿絵つきのキャラ(桜田かおる)を投入した点は気になるところだ。シャープによれば「社内でも議論が分かれたが、このキャラについては挿絵があった方が伝わりやすいと判断した」(同)とキャラクター路線の変更については慎重な構えだが、ユーザーニーズがどのような方向に向いていくことになるか、動向に注目したいポイントだ。

 今後の展開については「継続的に成長させていきたい」(同)とアップデートを含む機能強化には積極的な姿勢。エモパー専用の公式サイトをオープンし、さらなる認知度向上に努めていく方針だという。思わぬ手ごたえを得たシャープのスマホ、この機会をガラケー以来の国産端末飛躍のきっかけへとつなげたいところだろう。

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