サイバー藤田社長、後継者選びは「今は無理」--IVSで気鋭起業家5人と語る - (page 2)

岩本有平 (編集部)2013年05月23日 20時38分

サイバーエージェントは「新卒に一番いい会社」?

 さらに藤田氏は、登壇した起業家にサイバーエージェントの印象を聞いた。小島氏は「サイバーエージェント、藤田社長が起業のきっかけ。組織と事業を両立できる企業を作りたいと思っていた。それがメディアという方向性にも共感した」と語る。有安氏は、自身がサイバーエージェントの社員を引き抜こうとしたが難しかったと語り、「人事の会社である。仕組みの作り込みもしっかりしている」とした。有安氏は逆に、藤田氏に対して「女の子もカワイイのも仕組みの1つですか」と尋ねると、藤田氏は「それはネット業界の都市伝説です」とかわす。2005年に新卒採用で不採用となったという古川氏は、「新卒なら一番入りたい会社。昔のライブドアみたいに新しいモノを作ったりしている」と同社を評した。

 また藤田氏は、日本のベンチャー環境の問題点を尋ねる。古川氏と有安氏は日本が実は「起業しやすい環境」ではないかと語る。「若いうちから大企業に行っても結構発注してくれるし、僕の世代くらいから寛容になっている印象はある。問題は(起業家の)年齢層が高めなこと」(古川氏)、「日本は起業家天国。主観的には恵まれていると思う。どうやればシリコンバレーな生態系になるかという問題もあるが、それは量の問題。解決するのは政策ではなく、壇上の僕らの中から億万長者が出ること。そうすれば目の色が変わる。大きな成功事例を出すのが重要」(有安氏)。さらに小島氏は「再チャレンジに対してチャンスがあってもいいと思う」、大竹氏は「もっとぶっとんでていいと思う。AppleやGoogleに勝てない前提で発想するところがあるが、日本がナンバーワンだと思うくらいでいい」と語った。

起業家から藤田氏への質問も

 セッションの最後には質問の時間が設けられた。そこでは登壇者から藤田氏への質問が投げられた。

 大竹氏はまず、「経営者の引き際はいつかあるのか。その考えはあるか。あるならばどういう人物に任せたいか」と藤田氏に尋ねる。

 藤田氏は質問に苦笑いしたあと、「正直辞めよう、辞めようと思ってきた。黒字化したら辞めよう、Amebaを立ち上げたら辞めよう、と。しかし何かを達成したらしたで新たな責任が生まれる」と答える。そして、以前は「誰がやっても伸びる会社」を目指していたが、自身がAmeba事業に集中して他の業務を人任せにしたために失敗があり、今では細かな業務までを自身で見ているため、「『抜けれない状態』に社長もはまっている」と説明。さらに大竹氏から「辞めないということか」と問われると「今はちょっと無理(笑)」と返した。

 古川氏からは、「脅威に感じている若手は誰か」という質問が投げられた。これに対しては、「全然ない」と回答する藤田氏。「競合が出てきたときに嫌がる人もいるが、今までを見てもサイバークリックとバリュークリック、モバゲーとグリーが競争したから市場は大きくなった。歓迎だし、基本スタンスとしては応援したい」(藤田氏)

 最後に有安氏が「最近注目してサービス」について聞いた。藤田氏は「よく聞かれるが、そういう目で見ないようにしている。海外で流行ったものをいち早く持ってくる時代でもないし、他のサービスを見ると自分の目も狂ってしまうので見ないようにしている」と答えた。

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