アップルとサムスンが迫られる低価格スマホの開発--新たな成長に向けた2強の課題 - (page 2)

Shara Tibken (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2013年05月02日 07時30分

成長が見込まれる市場

 米国のような成熟市場にはスマートフォンが溢れているかもしれないが、インドや中国のような地域は明らかにそうではない。中国は先ごろ、米国を抜いて最大のスマートフォン市場になった。インドも将来的に中国を抜く可能性がある数少ない国の1つと見られている。

 開発途上国の人口の多さは大きな機会をもたらすが、率直に言って、それらの地域に住む人々の多くは600ドルのガジェットを買う余裕がない。世界銀行によると、中国の2011年における1人当たりの国民総所得は4940ドルだったという。また、1億7000万人以上が国際貧困ラインである1日1.25ドル以下の生活費で暮らしていた。こうした地域の人々は200ドル以下の携帯電話を購入する可能性が高く、ローエンド市場がハイエンド市場より急速に成長する要因になっている。

 ABI Researchによると、2012年はスマートフォンの4分の1が200ドル以下で、27%が400ドル以上だったという。2013年は、ハイエンドのスマートフォンは出荷台数全体の27%を堅持するはずだが、ローエンドは4ポイント増加すると見られている。同社は、2017年までに出荷台数全体の42%を低価格のデバイスが占めるようになり、一方でハイエンドの割合は23%に縮小すると予測している。これらの数字は、通信キャリア向けの卸売価格に基づくもので、携帯電話の小売価格ではない。

 こうしたローエンド市場の成長と、それに伴う大量の出荷台数には、Nokiaなどのほかの携帯端末ベンダーも魅力を感じている。米国で市場を牽引する企業に苦戦してきたNokiaは現在、インドやロシアといった国々でローエンドの携帯電話を積極的に売り込んでいる。180ドルの「Windows Phone」搭載スマートフォン「Lumia 520」をはじめとする同社の製品群は、通信キャリアが通常、端末価格の一部を販売奨励金という形で顧客に代わって負担することをしない地域において、iPhoneとの戦いに勝利を収めている。

ローエンド市場に向いているのはどちらか

 Appleとサムスンはローエンド市場に対応する必要があることを理解しており、両社ともそのための努力をしている。Appleは以前から安価なiPhoneを作って品質を犠牲にするつもりはないと述べてきたが、最近は、低価格だが高品質なiPhoneは理にかなっているということを、遠回しに述べている。さらに、Appleは米国内外で旧型のデバイスを割引価格で売り込んでいる。

 Appleの最高経営責任者(CEO)であるTim Cook氏は、先週の決算発表の電話会議で次のように述べた。「中国には初めてスマートフォンを購入する可能性のある人が非常に多い。そのことは把握している。中国ではこれまでもiPhone 4に対する関心が非常に高かったが、先ごろiPhone 4をさらに値下げして、初めてスマートフォンを購入する人々にとってさらに魅力的なものにした。したがって、それが将来的にiPhoneの売り上げに貢献することを期待している」

低価格スマートフォン市場は急速に成長している。これらの数字は、通信キャリア向けの卸売価格に基づくもので、携帯電話の小売価格や通信キャリアが提供する販売奨励金があることによる価格ではない。
低価格スマートフォン市場は急速に成長している。これらの数字は、通信キャリア向けの卸売価格に基づくもので、携帯電話の小売価格や通信キャリアが提供する販売奨励金があることによる価格ではない。
提供:ABI Research

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]