その点に関して言えば、同ソフトウェアのデスクトップとモバイルデバイスでの体験の比較は、2つのイデオロギーの物語である。デスクトップでは、すべてがiTunesを経由する。アプリやオーディオブック、ポッドキャスト、音楽アルバム、テレビ番組、映画の検索とダウンロード、さらに接続したiOSデバイス上のアプリアイコンの並べ替えを行いたいときも、同ソフトウェア経由で実行可能だ。iOSデバイス自体では、それらの機能の多くはそれぞれ独自のアプリに格納されている。iOSデバイス上のiTunesは、ユーザーが購入するコンテンツをさまざまなアプリという名のバケツに入れるためのストアにすぎない。
Appleは、これらのすべてを統合することにはあまり関心を示してこなかった。その代わりに、以前はiOSのiTunes内で機能していたポッドキャストの検索、ダウンロード、および再生機能を切り離して、独自のアプリに組み込んだ。しかし、本当の問題はそこではない。
再設計が施されたとはいえ、iTunesを支えるビジネスモデルは脅威にさらされている。iTunesは、オンデマンドの音楽に注力してきた新興企業からの競争の激化に直面している。SpotifyやRdioなどのサービスは、音楽ライブラリを管理および保存する作業からユーザーを解放し、その代わりにコンピュータ上で、そしてポータブルデバイスの場合はアプリを通して、あらゆるものをストリーミングできる手段を提供することを目指している。さらにGoogleのYouTubeもある。YouTubeを音楽ストリーミングサービスと同列に論じることを少し奇異に感じる人もいるかもしれないが、同サイトは楽曲であふれており、レコード業界関係者の多くは、それがAppleのダウンロードの需要を奪っていると話す。
その上、Pandoraのようなストリーミングラジオサービスもある。NPD Groupの調査結果によると、ストリーミングラジオサービスの最近の聴取者数は前年比で27%増加したという。また同調査結果は、多くのリスナーがPandoraなどのストリーミングラジオサービスを聴くようになったため、ポータブルデバイスに保存された音楽ファイルの再生が前年比で21ポイント減少したことを示している。
そのようなビジネスが存続できるのか、さらには長期的に繁栄できるのかどうかは現時点では分からないが、それらは人々が音楽を見つける方法が変わり続けていることを示す証拠である。Appleは独占性を追求することで反撃してきた。今では、特別にマスタリングされた音楽コレクションや音楽アルバムにバンドルされた特別コンテンツを購入できる。AppleはiTunesを通してアルバム全体のプレビューをストリーミングできる機能の提供まで試みている。
次のステップは、多くの人がうわさする、Pandoraのようなサービスに対抗するストリーミングラジオ製品だ。しかしiTunes 11にはまだ組み込まれない。はっきりしているのは、iTunes 11が登場する時点においても、それをモバイルではなくコンピュータ上で使う利点はほとんどなく、Appleのデスクトップ音楽製品は再び窮地に立たされると考える必要がある、ということだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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