こうした貢献をしているにもかかわらず、Officeについては、AppleのiOSユーザーにも使えるようにすることにMicrosoftはほとんど関心を示してこなかった。これまでに同社は「OneNote」のモバイル版と、同社の「Lync」コミュニケーションソフトウェアのモバイル版を提供しており、これらはOfficeというパズルのうちの2つのピースではあるが、人気のアプリケーションであるとは言いがたい。
Gartnerのバイスプレジデントで著名アナリストのMichael Silver氏は次のように述べる。「Microsoftは既に流れに足を踏み入れてはいるが、その試みはあまりうまくいっていない。MicrosoftがOfficeで競争を続け、物事を維持することを真剣に考えるなら、iPad向けのOfficeが必要だろう」
もちろんOffice自体は、iPadでは利用できないアプリケーションのなかで、最も高い人気を誇るものの1つだ。企業は事務作業に「Excel」を使ったり、マーケティングプランの作成に「Word」を使ったりする。従業員が自分のiPadを職場に持ち込みたいと思ったとしても、作業を仕上げる段階になってOfficeが必要になり、行き詰まってしまうことも多い。
Appleを含むいくつかの企業は、iOSのエコシステムにOfficeが欠けている状況に対処しようとしてきた。電子メールに添付されたMicrosoft Officeの文書は、Apple製品に搭載されている「Mail」アプリケーションで読むことができる。ユーザーはいくつかの種類のMicrosoft Office文書を、対応する「iWork」アプリで開いたり、編集したりすることもできる。iWorkは、Apple独自の有料の生産性アプリケーションスイートだ。
もっと便利に使いたいユーザーには、CloudOnやOnliveのような企業が、iPadと「Android」タブレットの両方に向けたソリューションを用意しており、Officeソフトウェアの仮想バージョンを使って文書を扱える。しかしSilver氏は、Microsoftの複雑なライセンス契約を考えると、そうしたソリューションは結局は企業にとって頭の痛い問題になりかねないし、機能をもっと使いたいパワーユーザーには不十分なことがあるとしている。
Microsoftが最終的にOfficeのiOSバージョンを提供すれば、そうした次善策はどれも必要なくなるだろう。しかし今のところ、Microsoftが最も関心を寄せているのは、新しいWindows 8搭載デバイス上のOfficeで、最高のタッチエクスペリエンスを実現することだ。
「少なくともクリスマス休暇の時点では、新しいOfficeを使えるタブレットデバイスは『Window RT』端末だけだろう」(Silver氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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