EX-Z3の発売以降、各社とも“より小型化”という路線を鮮明に打ち出してきました。基本パーツである基盤などがどんどん小さくなり、他社では、小さくなったぶん、ボディを小型化するという方向でしたが、弊社ではあえてバッテリを大きくしようという話になっていました。当時、電池寿命がどんどん短くなっていったんですね。撮影枚数に計算すると200枚も撮れない。ユーザーからの不満はすごいものでした。
タイミングとしてもデジタルが銀塩を追い越した頃でしたから、カメラといったらデジタルが当たり前。なのに銀塩より撮れないでは、ストレスが溜る。むしろ、銀塩から大きく後退しているよねと。そこで、バッテリの大型化へがすすめられます。そこで、追い風というのが適切かはわかりませんが、各社とも電池寿命(撮影可能枚数)の表記がまちまちだったんですね。それをカメラ映像機器工業会(CIPA)が規格化して条件を統一しようとすすめるわけです。
そして、その規格が発表されたタイミングで「EX-Z40」を出すことにしました。CIPA規格が利用される前は、例えば画像サイズを小さくして○○○枚撮れますだとか、ある種のごまかしのような書き方をしていたんですね。それが統一化によりできなくなった。そんな中で「EX-Z40」というのはずば抜けてバッテリ性能が良かったんです。他社と比べると、2~3倍も撮れるカメラ(EX-Z40はCIPA規格で360枚)として評価していただきました。
「EX-Z1000」のことですね。実は画素数競争なんていうのはナンセンスだなと、我々はそんな風に話をしていたんです。センサメーカーなんていうのは、やることがなければ画素数を上げていく。毎年そんなことの繰り返しでした。本当は感度とかノイズ処理だとか、そういった性能を“先に”向上させるべきなんです。それが、少し犠牲にしてでも高画素というわかりやすいアピールポイントに注力してしまう。
我々としては、500万画素だとか800万画素ぐらいで十分だろうといっていたんです。それが、ロードマップを見ると高画素化することがわかってしまう。だったら、とことん高画素化してしまおうと。800万画素が主流の時代に、一桁超えるというのは、それだけでインパクトがある。ならばそれを狙ってみよう。どうせやるなら世界初だ。当時はそんな感じでしたね。1010万画素の撮像素子を搭載したEX-Z1000ですが、センサはパナソニック製です。当然、パナソニックさんも同社の「LUMIX」というブランドがあるわけですから、そこに1010万画素のセンサを搭載するのはわかりきったことです。新型センサというのは、ある程度の時間を設けて、性能・品質管理を行うのが常です。そこで、出し抜くわけではありませんが、同社のタイムスケジュールを想定して、1カ月でも先に出そうと動き出しました。
リスクはありました。ただ、ナンバーワンになるには多少のリスクはしかたがない。限られた時間の中で、センサ部隊と一緒になって新製品の開発をすすめました。それがうまくいって、EX-Z1000の誕生となるわけです。その後はご存じの通り、1000万画素モデルというのは当たり前のようになっていますね。
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